研究課題/領域番号 |
26870462
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
上原 貴行 琉球大学, 医学部附属病院, 助教 (00644402)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 頭頸部扁平上皮癌 / ヒト乳頭腫ウイルス / 樹状細胞ワクチン治療 / 分子標的治療 |
研究実績の概要 |
ヒト乳頭腫ウイルス関連頭頸部癌を対象にした免疫療法の開発を目的に、本研究では樹状細胞(DC)ワクチンの作製、前臨床試験での細胞株、腫瘍移植モデルを用いたマウスでの有効性試験までを研究予定とする。本研究に頭頸部癌患者由来の血液、腫瘍組織検体を使用すべく、当大学倫理審査委員会より承認を受けており、今後検体採取を行っていく予定である。当教室ではHPV関連癌細胞株を複数所有しており、本研究において、RT-PCR、定量的PCR法により、HPV16型陽性の細胞株3種(UMSCC047、Caski、SiHa)においてはそれぞれウイルスゲノムの検出、また今回免疫治療のターゲットとするE6,E7の発現についても確認した。さらに、Western blot解析で蛋白レベルでE7の発現を確認している。今後、新たに頭頸部癌細胞株を国内の細胞バンクより供与を受け研究に用いる予定である。現在は、HPV関連癌に特異的な標的分子を検索することも並行して行っており、PI3K-Akt経路などに着目し阻害剤を用いた細胞増殖試験での細胞間での感受性の差異など検討している。DCワクチンの開発においては、臨床検体での血液・組織検体のストックを増やすとともに、Mylteni社のマグネットビーズ法を用いてCD14、CD8陽性細胞をそれぞれPositive selectionをかけて抽出し、サイトカイン存在下に成熟DCへ培養するべく、機器・試薬の整備を進めている。DC細胞の培養系が確立されれば、日本人に最多のHLAであるHLA-A2402に拘束性を持ったHPVE6,E7のペプチド配列候補を外注委託で合成し、成熟DCに曝露することで目的とするHPV関連癌特異的な樹状細胞ワクチンの開発を目指す。DCワクチンの有効性は各種癌細胞株、腫瘍移植マウスモデルで検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当科で所有している細胞株におけるHPV感染の有無、関連した遺伝子・タンパク発現については確認できた。今後新たに取得する予定の細胞についてもHPV感染の有無、関連遺伝子発現を同様に行う予定である。用いる予定の臨床検体においても、腫瘍組織でのHPV感染の有無を同様のRT-PCR、Direct sequence法にて解析しHPV関連癌症例の選別を進めている。今後これらの症例から血液検体を採取し、樹状細胞ワクチンを作製すべく研究設備を整えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は実際に樹状細胞(DC)の抽出、培養(成熟化)、HLA-A2402拘束性HPVE6/E7 peptideでの刺激を行い、DCワクチンを作製する。これをもとに頭頸部癌細胞株への抗腫瘍効果を解析し有効性を検討する。また並行して、HPV関連頭頸部癌に特異的な分子標的治療の探索も行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度の使用では主に物品購入とHPV感染に関する解析塩基配列の解析(外注委託)に使用した。大半は予定額を使用しえたが、端数として1679円の繰越額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に追加使用する。DCワクチン作成の設備、試薬に関連した使用を主な使用目的として計画している。
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