前立腺がん患者の術後合併症の増悪予防とQOL改善に向けた遠隔看護システム(以下遠隔看護システム)の効果を無作為化比較対照試験で検証した。 遠隔看護システムを3か月間行った結果、手術後3か月のEPICでは、介入群の排尿(p=.001)、排尿機能(p=.000)、排尿負担感(p=.015)、尿失禁(p=.024)の項目で対照群に比べて介入群の得点が有意に高かった。ストレステストでは、対照群に比べて介入群のテスト後の膀胱内尿量割合が有意に高かった(p=.001)。FACT-Gは、介入群の総合得点(p=.029)、身体well-being(p=.036)、情緒well-being(p=.021)、機能well-being(p=.001)の得点が有意に高く、対照群と比べてQOL改善に差が示された。遠隔看護の効果に対する質的データは行動変容の動機づけ、医療者とのつながりによる安心感を抽出した。 対象者が入力したデータが可視化され、医療者が尿失禁や性機能の状態、骨盤底筋体操の取組状況をモニタリングし、症状の変化に合わせて遠隔看護システムで支援した。またタブレット入力によって羞恥心を伴う尿失禁や性機能は、医療者に対面せず報告でき、主治医と連携を図り治療に結びつけた。遠隔看護によって医療者に見守られている安心感は、患者の症状マネジメント能力を向上させる力となった。今後システムの運用には、在宅療養している患者に対しての遠隔看護をいつ、だれが、どのタイミングで実施するのがよいか、プログラム作成や得られたデータの情報管理にコストを要する等、様々な課題が山積している。遠隔看護の適用効果を多側面から検証していく必要がある。
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