研究課題/領域番号 |
26870474
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
秦 政寛 首都大学東京, 人文科学研究科(研究院), 研究員 (50706439)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 事象関連電位 / N400 / 言語 / プライミング |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、高密度脳波計を用いた脳波計測を行い、時間情報と信号発生源の推定から得られる空間情報をもとに、語レベルの意味処理における左右大脳半球の機能的非対称性の発生メカニズムを明らかにすることである。 初年度は、まず計測機器ならびに計測環境の整備を行った。刺激は生物群・非生物群といった意味カテゴリーに焦点を絞り、各カテゴリーにおいて、連想的関連性がなく概念的類似性の異なる組合せを作成した。所属機関の研究安全倫理委員会の承諾を得て研究協力者の募集を行い、大学生を対象とした予備実験を実施した。脳波計測時ならびにアンケートによる刺激単語の類似性判断課題を実施し刺激と計測方法の妥当性を検討することで、本実験への方向性を定めることができた。本研究では、右視野もしくは左視野に刺激を瞬間的に提示することで、右視野の場合には脳の左半球、左視野の場合には右半球に優先的に刺激が入力されることを利用した半側視野瞬間提示法を用いている。そのため、刺激の入力条件の正確さが重要となる。そこで、眼球の動きを計測し、個人ごとに、刺激の入力が正しく行えていない可能性のある条件を解析から取り除く方法を確立した。入力刺激の妥当性については、先行研究においてあまり明記されていない点ではあるが、妥当性のある解析データを収集する上で重要な点である。信号発生源の推定については、妥当性のあるデータが十分に確保できたうえで行う予定であり、現在、継続してデータの収集を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予備実験を実施することで刺激ならびに計測環境の妥当性が確認できた。研究協力者の募集は順調に行えており、継続したデータ収集が実施できているため、おおむね順調に進展していると評価する。
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今後の研究の推進方策 |
研究協力者の募集を引き続き行い、刺激入力が妥当とされる解析データが十分に収集できた段階で、時間情報と信号発生源の推定から得られる空間情報をもとに左右大脳半球の機能的非対称性を評価し、論文としてまとめる。さらに、データ収集を継続し、男女差を踏まえた意味処理における左右大脳半球の機能的非対称性の検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた主な理由としては、初年度に予定していた物品の購入を控えたことがあげられる。
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次年度使用額の使用計画 |
今後計測に必要となる物品や謝金、また研究成果の報告にかかる費用として、翌年度の研究費と合わせて使用する。
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