砂漠化の最前線として知られる西アフリカの半乾燥地(サヘル地域)では、干ばつ被害が慢性化しているが、近年洪水被害も急増しており、2010 年には両者の被災者数が並んだ。本研究では、流域水循環予測モデルであるSWATを用いて最近50年の土地条件の変化が直接流出量に与える影響を評価した。その結果、近年頻発するサヘル地域での洪水は、砂漠化の進行に伴う耕地でのクラスト層の露出による流出率の増加に起因することを示した。また同じくSWATを用いた解析により、サヘル地域で風食による砂漠化の対処技術として開発された「耕地内休閑システム」が洪水対策としても有効であることも示した。
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