研究課題/領域番号 |
26870476
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研究機関 | 明海大学 |
研究代表者 |
佐藤 賢 明海大学, 外国語学部, 講師 (50726487)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 中国ドキュメンタリー映画 / 中国文学 / ドキュメンタリー / 詩 |
研究実績の概要 |
平成28年度は、次の研究活動をおこなった。 昨年度に引き続き、調査・資料収集をおこなった。中国・北京を訪れ(2016年8月)、映画監督・叢峰氏らにインタビューをおこない、現在の中国インディペンデント・ドキュメンタリーをめぐる状況と叢峰氏も編集委員の一人をつとめる雑誌『電影作者』の編集について話を聞くことができた。また、北京で開催されていた国際ワークショップに参加し、叢峰氏と映画監督の毛晨雨氏との対談や映画監督の王兵と批評家の張献民氏の対談を聴くことができた。 本研究は、中国インディベンテント・ドキュメンタリー映画批評・研究のネットワークを構築することが目的であるが、研究実施計画に基づき、研究成果の発表にも力を入れた。 本研究が目指す有機的な批評の空間をつくり出すためには、実制作者に寄り添った内在的な考察が必要であるが、そのような面で、重要な制作者の一人である詩人・于堅の詩創作、詩論、ドキュメンタリー制作を取り上げ、「詩人于堅における詩とドキュメンタリー」(『明海大学外国語学部論集』第29集)を発表し、中国における詩とドキュメンタリーの親和性について考察した。また、中国インディベンテント・ドキュメンタリー映画を、広く中国社会をいかに理解するかといった問題の文脈の中に置き、葉雲監督のドキュメンタリー映画『見つめる』を取り上げ、「中国を見るために―映画『見つめる』が示唆するもの」(『国際未来社会を中国から考える』未刊行)を執筆し、中国インディベンテント・ドキュメンタリーを、中国社会の問題を単に映し出す道具と見るのではなく、「眼差し」や制作者の内心が映し出された表現として見ることの重要性を指摘するなど、中国インディベンテント・ドキュメンタリーを内在的に考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度に引き続き、中国におけるインディペンデント映画をめぐる環境は厳しく、中国国内における映画上映イベントは開催できない状況にあり、上映イベントを利用したインタビュー調査は進まなかったが、小規模な上映会やワークショップに参加することにより、インタビュー調査や制作者との連携を進めた。 また、当初予定していた研究会や国際ワークショップを実施することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究・調査をまとめ、研究成果の発表をおこなっていく。 引き続き、他の研究会活動と積極的に連携し、ネットワークの構築を目指す。 国際ワークショップを開催する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた国際ワークショップを次年度に開催する方向へと計画を変更したため。
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次年度使用額の使用計画 |
国際ワークショップを開催する予定である。
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