研究課題/領域番号 |
26870477
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
加藤 晋 東京大学, 社会科学研究所, 准教授 (30553101)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 経済理論 / 不平等 / 貧困 / 社会厚生 / 公共政策 / 福祉 |
研究実績の概要 |
平成26年度においては、関連研究のサーベイと不平等・貧困の指標についての基礎理論の構築に従事した。まず、研究会および学会に参加することを通じて、情報収集を行った。社会的選択理論、不平等の経済学、労働経済学、経済思想などの分野の研究者と交流を行い、さまざまな研究に関連した情報を得た。また、学内で手に入りにくい研究書を収集し、これに基づいて検討を重ねた。 特に、多次元的不平等および多次元的貧困の既存研究をとりまとめ理論的整理を行った。また、日本の所得に関するデータを整理し、データの厳密な取り扱いに基づいた不平等・貧困の評価についての基礎的分析を進めた。 さらに、厚生経済学の研究の思想的基盤となるアーサー・セシル・ピグー『厚生経済学』に関する論文を書いた。そこでは、ピグーの「旧厚生経済学」における分析的アプローチがどのように現代の厚生経済学理論と関わるのかについて論じている。これに加えて、多次元的指標の基礎として、複数の判断から全体的な社会的判断を形成するためのルールに関する論文を書いた。全体的判断に関する可能性と不可能性を示した。また、産業政策によってどのように経済厚生を改善するかについての論文を書き上げた。そこでは、特に民営化や関税政策を検討した。 論文は英文で書いたため、英文校正が必要となった。そこで、英文校正を専門とする外部業者に依頼した。論文は改訂を重ねて、海外の査読誌に投稿を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
以下の理由で研究はおおむね順調に進んでいると判断した。 第1に、研究会と学会においてさまざまな研究者と交流を図り、研究に関連した情報・知識を得た。 第2に、購入した図書をもとに来年度以降の研究を進めていく上で基礎となる新たな知識・技術を身に付けた。 第3に、当初書き上げる予定だった論文は2本だったが、それ以上の論文を書くことができた。
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今後の研究の推進方策 |
まず、不平等指標や貧困指標に関する理論研究を完成させるとともに、産業政策や労働政策といった応用的課題への展開を進める。また、歴史的考察や国際比較を行うことによって、現実社会への指標の適用を行う。さらに、研究会や国際会議などへの参加などによって、海外の多次元的指標の専門家との意見交換を通じてさらなる発展を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入予定だった書籍が出版されなかったために、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
購入予定だった書籍の購入に利用する。
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