研究課題/領域番号 |
26870480
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
栗原 裕司 横浜市立大学, 生命医科学研究科, 特任助教 (00634552)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 神経科学 / 神経再生阻害因子 / アンタゴニスト / 神経再生 |
研究実績の概要 |
本年度は、LOTUS-PirB相互作用、PirBリガンド-PirB結合に対するLOTUSの分子機能および神経細胞におけるPirBの神経突起伸長阻害作用に対するLOTUSの抑制効果を検討した。 申請者は、COS7細胞に強制発現させたPirBに対して精製LOTUSが結合することを見出した。このLOTUS-PirB結合を更に検証するために、ストレプトアビジン結合タンパク質(SBP)融合のLOTUS(SBP-LOTUS)とPirBの両者を強制発現させたCOS7細胞の可溶化液に対しストレプトアビジン樹脂を用いてpull down assayを行ったところ、精製産物中にSBP-LOTUSとPirBの両者が検出されることから、LOTUSはPirBと相互作用することが明らかとなった。 次に、LOTUS結合がPirBの分子機能に及ぼす影響を検証するために、PirBリガンドであるNogoとPirBとの結合に対するLOTUSの影響を調べたところ、PirB単独を強制発現させたCOS7細胞にNogoは結合するが、LOTUSおよびPirBの両者を強制発現させたCOS7細胞にはNogoはほとんど結合しないことを明らかにした。 さらに、PirBの神経突起伸長阻害作用に対するLOTUSの影響を検討した。PirBを高発現するマウス小脳顆粒細胞はNogo等の神経再生阻害因子により神経突起伸長が阻害される。しかし、この神経細胞はPirBと同じリガンド分子を受容し、同様な機能を有するNgR1も発現しており、LOTUSがNgR1拮抗作用を有することから、PirBに対する拮抗作用を特定化できない。そこで、NgR1欠損マウスの小脳顆粒細胞のNogoに対する応答性を調べたところ、Nogoにより神経突起伸長は阻害されたが、精製LOTUSタンパク質を添加した神経細胞ではNogoによる神経突起伸長阻害がレスキューされた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究計画(LOTUS-PirB相互作用、PirBリガンド-PirB結合に対するLOTUSの分子機能および神経細胞におけるPirBの神経突起伸長阻害作用に対するLOTUSの抑制効果に関する検証)が概ね順調に進んでいることが理由として挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
NgR1欠損マウスの小脳顆粒細胞を用いて、Nogoの他に2種存在するPirBリガンド(MAG、OMgp)の応答性に対してLOTUSが抑制できるか否かについて検証する。さらに、PirBを高発現するマウスの後根神経節細胞においても同様の実験を行う。
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