研究課題
申請者らが合成した磁性タキソールが磁性をもつことを、磁化測定装置を用いて測定した。また、磁性タキソールが市販抗がん剤であるタキソールの特徴を磁性後も保持しているかを確認するために、実験を行った。抗がん活性の有無に関してはヒト乳がん培養細胞 MCF-7やトリプルネガティブヒト乳がん細胞であるMDA-MB-453に対して、XTT proliferation assayを用いて磁性タキソールが市販タキソールと同等以上の薬理活性を持つことを確認した。生体内における磁性タキソールの効果を示すために、がんモデルマウスを作成し、薬効評価を行った。免疫不全マウスを用いて、がんモデルマウスを作成した。それらを薬剤治療群と未治療群に分類し、治療群はタキソール投与群、磁性タキソール投与群に分け治療を行った。その結果、両群には効果に大きな差はなかった。さらに、磁性タキソール投与群は腫瘍部に磁石を当て、永久磁石によるドラッグデリバリー効果の評価を行った。磁石付与群と磁石なし群に分け、比較検討を行った。その結果、磁石あり群で有意に腫瘍増大率の低下を認めた。磁性タキソールは生体内においてもタキソールと同等の抗がん活性を示し、さらに磁石り抗がん活性が増強した。マウスの腫瘍部に磁石を当て、静脈投与した磁性タキソールを集積させることで、磁性タキソールの磁石集積がMRIで確認できるか検討した。その結果、T2強調画像において磁性タキソールの集積が確認された。本研究で、磁性タキソールは市販のタキソールと同等の抗がん活性を持ち、さらに磁性により、磁石により任意の場所に集積した。磁性タキソールは体外からの磁石により、生体内で薬剤の挙動をコントロールできることから、副作用の少ないドラッグデリバリーが可能な新しい癌治療が可能かもしれない。
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NPG Asia Materials
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