本研究は、高齢者がはじめて訪れる施設内を移動した時の視覚情報と、移動後に印象に残った箇所を捉え、環境調整看護ケアの観点から転倒予防のための安全対策を検討することを目的とする。 視線測定では、歩行中に視線が停留した箇所で多かったのは廊下床面であった。移動中に、床面から前方へ視線の移動を繰り返す者は少なかった。また、インタビュー調査では、トイレの場所を把握していない者の中には、移動中にはトイレに行きたくなかったから確認しなかったとの回答もみられた。高齢者の生活する場は、使用頻度の高いところから説明を始め、使用したい時に困惑せぬよう来所時から印象づける対策が必要である。
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