研究課題/領域番号 |
26870483
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研究機関 | 富山県立大学 |
研究代表者 |
本吉 達郎 富山県立大学, 工学部, 助教 (20533061)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 教育工学 / 科学教育 / 視覚障碍者の教育支援 / ユーザインタフェース / タンジブル・ビット |
研究実績の概要 |
視覚障害者のプログラミング教育を支援するためのブロック型プログラミングツールP-CUBEの開発に取り組んだ.プログラム要素に対応するブロックに「MOTION」「IF」「LOOP」「TIMER」の4種類を設定し,移動ロボットのプログラムを作成しながらダイクストラの3つの構造化文である「順次」「繰り返し」「条件分岐」の概念を総合的に学習できるようにした. P-CUBEはプログラミングブロックをプログラムマット上に配置することで移動ロボットを制御するプログラムを作成できる.プログラミングブロックにはRFIDタグを設置し,プログラムマットに設置したアートファイネックス社製ASI4000型RFIDリーダモジュールを用いて配置情報を読み取る.プログラムマットのブロック配置用のマスは30箇所とし,2段階の条件分岐プログラムを作成できるように対応させた.数種モデルを試作後,プログラミングブロックには重さや匂いを判別に用いやすいスギ材,およびケヤキ材を用いることにした.形状は後に手触りで種類や方向を判別しやすいように配慮した.ブロック表面には種別を提示する凹凸情報を設置した.製作したブロックの評価として,目隠しをした晴眼者による判別実験,視覚障害者および盲学校の教員に対するインタビュー調査を実施した.移動ロボット走行用のコースマットはストレート,およびコーナー形状のものを用意し,組み合わせ用により任意のコースが作成できるようにした.コースにEVAシートおよび厚紙を使い分け,視覚障害者が手触りで形状を判別できるようにした. 全盲者,弱視者を対象とした科学教室において,P-CUBEを用いた移動ロボットのプログラム作成授業を実施した.ブロックの判別,配置については参加者が自立して操作できることが確認できた.一方,プログラムの転送,実行操作もユーザ自身で行いたいとの意見も確認できた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度の計画にあげた「プログラミングブロック,走行コースの製作」「条件分岐プログラムの実装」については,視覚障碍者から晴眼者までを対象とした体験授業や評価実験の結果をフィードバックさせながら概ね予定どおりに進展している.また,「条件分岐プログラムの実装」も2段階の入れ子構造での条件分岐プログラムまで対応させることができている.評価/検証実験における被験者も科学体験教室や近隣の盲学校学生・スタッフに依頼することで順調に募集することができた.今後は視覚障碍者対象の大学学生などにも募集範囲を広げ,より多くの知見を得る方向で検討している.
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今後の研究の推進方策 |
より多くの視覚障碍者からの意見が得られるように被験者募集範囲を広げながら,平成27年度計画にあげた「プログラミングブロック,走行コースの改良」に取り組む.また,視覚障碍者を対象としたプログラミング体験授業から得られた視覚障碍者からの「プログラムの転送,実行操作も自分でやってみたい」との要望に対処するため,「ロボットによるブロック配置スキャン機能の実装」にとりかかる.平成28年度計画において予定している,「視覚障碍者が容易に操作可能なインタフェース構築」に備えて,ブロック配置情報の無線による転送システムの構築にもあわせて取り組んでいく予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
国際学会での発表において学生引率のための旅費が発生し当初予算より旅費が増加することとなった.このため,平成26年度予算において計上していたノートPC1台の購入を延期した.
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次年度使用額の使用計画 |
購入を延期していたノートPC1台を購入する予定である.本機は移動ロボットのマイコン制御用プログラム,RFIDシステム制御用プログラムの作成,およびP-CUBEの使用状況を記録したデータの解析に使用する.
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