今後の研究の推進方策 |
滑膜に発現するconnexinファミリーはconnexin 26,32,および43がある.これらのconnexinに対するsiRNA(si-Cx26,si-Cx32)を作製し,滑膜細胞,マクロファージ,骨髄単球系前駆細胞,骨芽細胞でのsiRNAによる発現抑制効果をreal time RT-PCR法で検証する.ギャップ結合の発現阻害薬であるグルタミナーゼ阻害薬,ギャップ結合の機能的阻害剤であるヘプタノール,18β-グリチルリチン酸を用いて,同様の実験を行い,Cxファミリーの発現検討を行う.また,DAラットの滑膜から線維芽細胞を,腹腔内からマクロファージを採取し,Cx43 siRNAまたはギャップ結合阻害剤であるheptanolを添加した後,LPS刺激を行い細胞内タンパクおよび培養上清を採取する.iNOSおよびCOX-2の発現をウエスタンブロットで,炎症メディエーター(prostaglandin E2,NO),炎症性サイトカイン(TNF-α,IL-1β,IL-6),骨代謝関連因子(osteoprotegerin,cathepsin Kなど)の発現をELISAで評価する.さらにRA動物モデル(CIAラット)を作製し,Cx-siRNAsを単剤あるいは併用で投与し,経時的に滑膜組織および破骨細胞でのCxファミリーの発現について免疫染色で評価し,最も効果のあった投与方法について副作用の有無を体重変化,血液生化学検査(肝腎機能,骨髄抑制の有無),骨リモデリングへの影響で検討する.治療効果として,経時的に肉眼的関節炎スコアおよび足部体積を記録する.1週毎に関節液を採取し,NO,PGE2および炎症性サイトカインの発現について評価する.感作後28日でsacrificeしレントゲンおよびμCTにより骨破壊の程度を検討する.最後に組織切片を作成しHE染色,サフラニンO染色,および,TRAP染色により組織学的に関節破壊を解析する. 以上の結果から, ギャップ結合の制御による滑膜炎・滑膜増殖・骨破壊における治療効果を検証する予定である.
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