研究課題
H27年度はH26年度に行った連続ブロック表面走査型電子顕微鏡で観察した痒み特異的伝達分子gastrin-releasing peptide (GRP)を標識した試料の三次元再構築を実施した。GRPで標識される神経終末はいくつもの膨らみが連続する数珠状構造を示し、膨らみの部分にGRP免疫陽性およびミトコンドリアの集積が見られた。また、痒み伝達神経終末に対するポストシナプスの構成要素の解析を行い、樹状突起・細胞体・有芯性小胞を含む神経終末・グリア細胞などの多数の構成要素によるシナプスの被覆がみられた。従来の電子顕微鏡法による脊髄後角神経ネットワーク解析から得られる情報は二次元的であったため、今回の三次元構造解析の結果から、多数の構成要素によるシナプス構造が見出された。このうち、想定していたよりもグリア細胞による痒み伝達シナプスの被覆の割合が多かったため、このグリア細胞の由来を同定するために、アストロサイト・ミクログリアのマーカーを用いて、新たな構造解析を実施している。本研究の解析の問題点は、三次元電子顕微鏡観察後の画像のセグメンテーションであり、数百から数千枚単位のセグメンテーションをマニュアルで行うため、予想を大きく上回る解析時間が必要となっていることである。シナプスのような近接した構造の個々の構成要素を自動的に迅速に抽出するソフトウエアの開発が望まれる。また、痒み関連分子をターゲットとした遺伝子改変動物のキャラクタライゼーションを実施した。そのうち、痒み特異的伝達分子であるGRP受容体について、脊髄から脳幹における局在解析が完了し、各種神経マーカーを用いて、体性感覚神経系におけるGRP受容体発現細胞のキャラクタライゼーションを実施した。現在GRP受容体発現細胞の投射部位の解析を実施している。
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