2成分ボース・アインシュタイン凝縮体と超流動3Heの二つの多成分超流体でおこる,自発的対称性の破れによって引き起こされる新奇な物理現象を理論的に調査した.この研究では,Lancaster大学で実施されたブレーン対消滅の模擬実験を理論的に解明することを目指している.その理論構築の過程で,「射影された対称性の破れ」という新しい物理概念を提唱した.また,水と油の相分離のような構造形成を生む系で離散的な対称性の自発的破れを伴うダイナミクスが,浸透理論と結びつく直接的な証拠を初めて示し,2成分超流体の相分離では,量子論と浸透理論のそれぞれが支配的な二つの長さスケール領域が共存することを明らかにした.
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