研究課題/領域番号 |
26870505
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
岡田 真 兵庫県立大学, 高度産業科学技術研究所, 助教 (60637065)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ナノインプリント / 高分子液晶 / ナノインプリントグラフォエピタキシー / 分子配向 |
研究実績の概要 |
液晶材料や有機半導体材料などに対してナノインプリントを行うことで分子配向を誘起させ、かつ微細構造物を作製する技術をナノインプリントグラフォエピタキシーと呼ぶ。本研究ではナノインプリントグラフォエピタキシーにおける分子配向原因の解明を目指している。平成26年度は材料として光反応性高分子液晶の一つであるP6CAMを用い、ナノインプリント時の圧力と温度が分子配向に与える影響について評価した。用いたモールドパターンはライン幅とスペース幅が共に2μm、ピッチ4μmのラインアンドスペース(L&S)パターンである。まずは温度を165℃に固定し、圧力を10MPa、15MPa、30MPaと変化させナノインプリントグラフォエピタキシーを行った。そして、得られたパターンに対して直線偏光を用いた回折効率の角度依存性を測定することでP6CAM分子の配向を評価した。実験の結果、いずれの圧力でも分子は配向し、また配向度に差は見られなかった。次に圧力を15MPaに固定し、温度を125℃、145℃、165℃と変化させパターンを作製し、分子配向を評価した。測定の結果、いずれの温度でも分子は配向し、配向度に大きな差は現れなかった。以上の結果から、ナノインプリントグラフォエピタキシー時の圧力と温度はP6CAM分子の配向に対して大きな影響を与えないことが分かった。ただ、P6CAM以外の材料では異なる挙動を示す可能性がある。そこでpoly[6-[4-(4-cyanophenyl)phenoxy]hexyl methacrylate] (P6CiM)という高分子液晶を用いてナノインプリントグラフォエピタキシーを行い、初期評価を行った。P6CiMの場合、ナノインプリント温度によって配向挙動が変化する傾向が示された。今後、材料依存性について詳細な研究を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究目的の一つに、ナノインプリントグラフォエピタキシーのプロセス要因が分子配向に与える影響を評価することを挙げており、平成26年度ではプロセス要因であるナノインプリント圧力とナノインプリント温度がP6CAM分子配向に与える影響について実験を行った。その結果、圧力、温度によってP6CAM分子配向に大きな変化は現れないことが分かった。また、高分子液晶材料であるP6CiMを用いた実験や、「研究実績の概要」には記述していないがナノメートルオーダーのL&Sパターンにおける分子配向評価に着手しており、当初の計画以上に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
P6CAMの場合はナノインプリント圧力、ナノインプリント温度を変化させても分子配向に変化は見られなかったが、P6CiMの場合は温度によって分子配向が変化する傾向が確認できた。そこでナノインプリントグラフォエピタキシーにおける材料依存性について評価を行う。また、ナノメートルオーダーのL&Sパターンについても、構造性複屈折との関係を考慮しながら評価を行う。
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