本研究では、ポリフェノールの中でも野菜や果物等に幅広く含まれるケルセチンに着目し、その生体内動態と活性発現機構の究明を目的とした。まず、ケルセチン摂取後の生体内に存在するアグリコン及び分解物を評価するため、これらを認識する抗体の作製を行った。しかし、得られた抗体はこれらを特異的に認識しなかったことから、免疫化学的手法への適用には至らなかった。一方、ケルセチン代謝物の脱抱合機構について、健常/炎症モデル動物を用いて比較検討した結果、炎症モデルではグルクロニド脱抱合酵素の酵素活性が高いと考えられたことから、代謝物が脱抱合されてアグリコンが生じることで、抗炎症作用の増強につながることが示唆された。
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