東日本大震災および原発事故を受け「地域」と「開発」のあり方が問い直されている。本研究は、こうした今日的かつ喫緊の課題を文学研究において引き受け、「地域」と「開発」をめぐる系譜学的考察を行うものである。近代以来の都市/農村、都会/田舎、中央/地方など「地域」をめぐる構造的な関係や、帝国主義/植民地主義から(ポスト)冷戦体制への連続性をもった移行の中で生じる「地域」の偏差や変化等に留意しながら、中上健次、干刈あがた、崎山多美らの文学における「地域」と「開発」の表象を考察し、「開発文学」の一史脈を提示した。
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