研究実績の概要 |
平成26年度は前年度に作成した看護師および保健師用のコンピテンシーリスト第1次案を基に、小規模離島の看護師と保健師それぞれのコンピテンシー、ならびに両職種に共通するコンピテンシーを精選するためのコンピテンシーの枠組み作成に必要なコンピテンシーに関する先行研究についての文献検討を行った。 参考となる看護職者のコンピテンシーの国外研究は、①病院の一般病棟・急性期病棟、②地域一般、③遠隔地、④僻地などいろいろなフィールドで実施されており、実践能力向上のための国家や組織によるものと、その他による調査との2タイプがあった。国内研究では日本ルーラル看護学会誌を中心に離島・僻地の診療所看護師、または町村役場の保健師の役割や彼らへの支援の在り方を調査した報告が幾つかあったが、コンピテンシーを特定した研究、および看護師と保健師の協働と連携教育を見据えた研究はまだ報告されていなかった。 コンピテンシーは、成果をあげるために必要な資質能力のことであるが、定義に幅がみられ、何が本質的に重要であるかがいまだ明確になっていない(佐甲ら.2007)。 コンピテンシーは、1970年代から米ハーバード大のマクレランド教授(心理学)がMcBer社とともに、1973年に学歴や知能レベルが同等の外交官に業績の差が出るのはなぜかを研究し、知識、技術、人間の根源的特性を含む広い概念として発表されたのが始まりである。その後、1990年代にアメリカで採用時や人材活用の場に取り入れられ、日本では近年の能力成果主義の導入とともに取り入れられるようになった。一方、保健看護教育部門では人材育成を目的に1990年代から検討されてきている(Spencer et al.,ForkerJ.E)。
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