本研究の結果、ディスレクシア児の中には、音韻障害に加えて、音韻以外の言語面の障害を合併する例が存在することが示された。現在、ディスレクシア児には文字を音に変換する指導・訓練が行われている。しかし言語障害が合併している場合、文字を音にできたとしても、文章の読解で困難さが継続する可能性があり、そういった例には指導法の工夫も必要となるだろう。そして、発達性ディスレクシアの認知神経科学的モデルを検討する際には、音韻障害だけでなく、非音韻性言語障害の併存の可能性や、その影響を加味する必要がある。こうした点を明らかにしたことが、本研究成果の社会的・学術的な意義と言える。
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