因子分析により、学習離脱を説明する5つの因子を推定できた。第1因子は学習関与の欠如と推定した。第2因子は注意散漫、第3因子は学習に対する備えの欠如、第4因子は反集団的傾向、そして第5因子は関心・集中力の欠落と推定した。観測変数の得点は平均して1.48~2.71であった。5件法の中間点数が3であるから、当初想定とは対照的に代表者本務校では学習離脱の度合いや範囲は限定的あると評価できる(詳細は掲載決定査読付き論文参照のこと)。調査対象者の学習歴、英語を選択した動機、学習の取組みと学習方略に認められる個人の動機について、次の特徴が認められた。①学習方略 中等教育で使う学習方略は限定されたレパートリーである。記憶・認知に頼る機械的学習が中心。学習方法を確立していない、多様な学習方略に触れる経験を欠くなどの様子がある。複数の学習方略を、個人差に合わせて選択的に実践する機会が重要。他方で、中等教育で経験した学習アプローチを逸脱して、自由に勉強方法を考案、実践している様子も。②学習動機 選択科目の英語をあえて履修するという点では、一定強度の動機づけが認められる。しかし洋楽の歌詞を理解したい、などの余暇や消費活動としての英語学習である。よって、教室内で動機づけを学習行動に結び付ける介入のほかに、教室外でも自律的な学習行動が持続する施策が重要。学校環境を鑑みると、学習者の文化的側面についての要望に寄り添うことを許さない制約も存する。ポップカルチャーを題材とした発音指導、多様な目標言語共同体との関係性を許容するコンテンツが有効かもしれない。加えて、日常的に英語を使う環境整備や、自己の動機づけを意識化・多様化させる機会が必要。③目的志向 語学試験受験は、学生が自ら動機づけストラテジーとして実践している。実用に耐える英語運用力が伸びている実感を持てることが、本学学生の動機と合致する介入には必要。
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