昨年実施した日本医師会認定産業医研修会に参加した医師を対象とした自記式アンケートを追加実施した。今年度は80名分を追加し、うち45名から回答を得、そのすべてを昨年度と合わせ集計した。昨年度と合わせると計200名に配布し、医師138名から回答を得、(回答率:69.0%)。経験2年目以下の研修医、未回答が多いものを除いた112名分を再集計した。質問項目は、『属性』、『日常業務における途上国赴任予定労働者からの相談の有無』、『日常業務における途上国赴任予定者に対する感染症に関する指導の有無』、『途上国赴任に際し推奨するアドバイス項目』である。 回答者のうち、日常業務において途上国派遣予定者から何らかの相談を受けたことが有る医師は33名(29.5%)で、相談を受けたことがない医師が多数を占めた。相談経験の有無と医師経験年数との関連を見たところ、相談経験ありのほうがやや平均年齢が高めであったが、有意差はなかった(あり:平均15.8年、なし:13.3年)。また相談の大半が、現疾病フォローもしくはワクチンについての相談であった。日常業務における途上国派遣予定者に対する感染症に関する指導経験は26名(23.2%)で、指導はしたものの自信をもって行ったと答えたものは3名のみであった(11.5%)。また指導経験がない医師においては96.5%が『自信がない』と回答した。指導経験者も含め自信のない項目は、『ワクチン関連』、『感染時対応』、『流行状況』に関してのものが多く、感染症事前教育、現地医療情報に類似する内容であった。海外派遣者や企業に対し情報提供をした方がよいと考える項目に関する質問では、『疾病予防教育』、『体調不良時の相談体制』、『感染症流行状況』、『ワクチン接種について』で多くの医師が強く推奨と回答した。
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