研究課題/領域番号 |
26870534
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研究機関 | 上武大学 |
研究代表者 |
中村 一成 上武大学, 商学部, 講師 (30634042)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 社会経済史 / 医療史 |
研究実績の概要 |
今年度は史料調査を中心に研究を実施した。当初の調査計画は次の通りである。(1) 花田安永家文書(五郎兵衛記念館(長野県佐久市)所蔵)、(2) 亀田家文書(山口県文書館所蔵)、(3) 富永慶晤家文書(栃木県立文書館所蔵)、(4) 福島家文書(宮崎県総合博物館所蔵)、(5) 鈴木(艶)家文書(千葉県文書館所蔵)、(6) 大山台診療所文書(新潟市歴史文化課所蔵)。 このうち、(1)については予備調査で史料目録を入手することができ、本研究の目的に照らして現地調査を実施するに及ばないと判断しこれを見送った。(2)~(6)については予備調査段階で史料目録を入手できなかったため、現地調査を実施した。その結果、(2)亀田家文書に「処方録」などの医業経営史料が系統的に含まれ、本研究の目的に最も合致することが分かった。この点が今年度の最大の収穫である。同文書の一部史料については写真撮影により収集したが、史料点数が多いため残りの部分は次年度にまとめて収集する機会を設ける。(3)~(6)の文書群については、断片的に重要な史料があり、その都度写真撮影にて収集した。本研究においては補足的な史料としての利用を想定している。 なお、本研究はできるだけ多くの事例分析を行い、その上で「近現代日本の医療システム」の歴史的構造と展開を体系化することを目指している。そのためには上記(2)の事例だけでは十分ではなく、次年度も新史料の発掘に向けた調査を継続するものとする。 その他、前年度までの科研費研究から本研究にかけての継続テーマであった戦後の医療費支払いシステムについて、「国民皆保険」との関係で戦後大都市(名古屋市)の国民健康保険の実施過程を分析・考察した論文を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた史料調査を予備調査も含めて全て実施することができ、しかも研究目的に合致する史料を発見することができた。基礎史料の収集と分析に向けた展望が開け、達成度としてまずは順調である。 もっとも、残念ながら望外の史料に遭遇する機会はなく、想定以上に進展したとまで評価するには当たらない。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は「研究実績の概要」で述べた(2)亀田家文書を全て収集する。それと前後して史料の解読・分析を進め、考察への準備を整える。また亀田家に関わる山口県内の地域史料を収集し、亀田家の医業経営の社会経済的背景の分析を行う。 同時に、新史料の発掘のため他地域の史料所蔵機関への予備調査を行う。 また、前研究までに収集・分析した史料についての研究発表を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
「旅費」および「その他」の費用を用いた資料調査が効率的に実施できたことが主な理由である。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は今年度と同様効率的な資料調査を心がけると共に、より早期に調査の成果を出せるよう資料調査の回数を増やすことを検討する。
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