本研究の目的は、既婚女性のスポーツ参与過程を明らかにし、スポーツの再社会化モデルを構築することであった。その中で、平成28年度は、前年度に行った紙面調査の結果について、掘り下げた説明ができるようにすべく、質的な研究方法として、2つの団体に対するグループインタビュー調査を行った。 その結果、紙面調査で日本の既婚女性のスポーツ活動に影響を与えることが明らかとなった「子ども」「育児」「介護」といった要因に関連して、「時間」「場所」「お金」が重要になることが明らかとなった。例えば、「子どもがやっていたから、自分たちもやることにした」という意見が出た一方で、「子どもが少年団でスポーツをしている間であれば、自分もスポーツをすることが可能である」、「保育園から呼び出されたときにすぐに行けないとまずいので、遠くまでは行けない」、「親の介護があるから土日の時間帯の練習に行けない」「家計を考えたら、高い費用は出せない」などの意見が出された。また、夫から「子どもを置いて俺も家に置かれると困る」、「親にまた行くの?と言われるから、夕飯は用意してくる」などの意見が出たことから、夫、家族の理解が大切であることが示唆された。 したがって、既婚女性のスポーツ活動には、「子ども」「育児」「介護」「時間」「場所」「お金」「家族の理解」といった要因を伴った「婚姻」が影響を与えると考えられる。 なお、紙面調査に関しては、学会で口頭発表を行っており、今後は、この紙面調査の結果とグループインタビューの調査結果と合わせて論文執筆を行い、発表する予定である。
|