研究課題/領域番号 |
26870540
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研究機関 | 明海大学 |
研究代表者 |
伊東 順太 明海大学, 歯学部, 助教 (40609096)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 骨芽細胞 / 炎症性骨破壊 / RANKL / LOX-1 / 破骨細胞形成 |
研究実績の概要 |
慢性関節リウマチや歯周病などの炎症性骨疾患の発症プロセスは、まだ多くの不明な点が残されている。申請者はこれまでレクチン様酸化LDL受容体(LOX-1)の破骨細胞形成と炎症性骨破壊に対する役割を示してきた。本研究では、未だ明らかにされていない炎症性骨吸収部位におけるRANKL発現機構とLOX-1の関連、特に骨芽細胞のRANKL発現におけるLOX-1の役割を解析するため、野生型マウス(WT)およびLOX-1遺伝子欠損マウス(LOX-1 KO)を用いて行った。 LPSまたはIL-1bとPGE2存在下で、WTおよびLOX-1 KOの頭頂骨より分離した骨芽細胞(OB)を用いてRANKL発現およびLOX-1発現を検討した。さらに、in vivoの炎症性骨吸収を模した微細環境を再現し、LOX-1のRANKL発現に対する直接的な役割を評価するため、WT OBおよびLOX-1 KO OBとWT破骨細胞前駆細胞(OC pre)との共存培養をIL-1bとPGE2存在下で行い、破骨細胞(OC)形成を検討した。 WT OBとWT OCpreの共存培養においてIL-1bとPGE2処理で大きく促進したOC形成は、LOX-1 KO OBとWT OCpreの共存培養で減少した。これと一致して、OBのIL-1bとPGE2処理またはLPSによるRANKL発現がWTに比べLOX-1 KO OBで低下した。これらは炎症部位でのRANKL発現がLOX-1に依存していることを示すと同時に、LOX-1依存性RANKL発現細胞の1つとして骨芽細胞が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請した平成26年度の研究実施計画については概ね順調に進んでおり、当初予定していた骨芽細胞のLOX-1に依存したRANKL発現について破骨細胞前駆細胞との共存培養系による検討から明らかにすることができ、その結果の一部は論文として公表した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は骨芽細胞のLPS存在下におけるLOX-1に依存したRANKL発現機構に焦点をあてて研究を遂行する。LOX-1発現ベクターを導入したLOX-1 KO骨芽細胞を破骨細胞前駆細胞との共存培養系に用いて、LOX-1の直接的な役割を評価するとともに、LOX-1依存的なRANKL発現機構の細胞内シグナル伝達経路を明らかにするため、MAPK阻害剤やPKA阻害剤等を骨芽細胞の培養系に添加し、そのシグナルの変化を評価する。得られた結果を基に学会発表・論文執筆を進める予定である。また、本年度より、当教室に新たに設置された遺伝子導入機器を用いることで、簡便かつ確実な遺伝子導入ができるようになったため、分子生物学的により詳細な解析を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
申請当初に予定していたよりもマウスおよびサイトカインの購入が少なかったことが影響していたためと考えられる。
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次年度使用額の使用計画 |
実験動物(マウス)の購入および試薬等の研究用消耗品の購入に使用する予定である。特にマウスは妊娠マウスを、研究消耗品はサイトカイン、とりわけIL-1bおよびPGE2の購入に使用する予定である。
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