目的:未熟児は適切な酸素化を維持するためにしばしば高濃度酸素を必要とするが、この高濃度酸素暴露は児に対して気管支肺異形成症を生じさせる。気管支肺異形成症の発症と重症度に性差が存在することが知られているが、この性差の基になる機序についての研究はほとんどされていない。本研究では、成獣マウス肺に対する新生仔期高濃度酸素暴露の性差に関連する長期的影響について検討することを目的とした。 方法:新生仔マウスを95%酸素(高濃度酸素)に96時間暴露し、以降は生後8週の成獣期までルームエアで回復させた。生後4日、14日、8週に肺組織を摘出した。マウス肺に対する新生仔期高濃度酸素暴露の短期的影響と成獣マウスの呼吸機能・気道過敏性・肺構造の性差について検討した。 結果:新生仔期高濃度酸素暴露は成獣の体重・アセチルコリン受容体遺伝子発現・気管支上皮厚に差を生じさせなかった。新生仔期高濃度酸素暴露後の成獣オスマウスでは呼吸抵抗が上昇し、メサコリンに対する反応性が低下した。一方、新生仔期高濃度酸素暴露後の成獣メスマウスでは肺胞化の遅延を認めた。 結論:本研究の結果から、新生仔期高濃度酸素暴露はメス・オス成獣マウスの呼吸予後に、異なる形で影響を与えることが示された。
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