研究課題/領域番号 |
26870547
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
日野 峻輔 埼玉医科大学, 医学部, 助教 (50614062)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 生理学 / 歯学 / 口腔外科学 / 三叉神経 |
研究実績の概要 |
我々はこれまでの研究で,ラットの顎運動機能が睡眠時にグリシン神経機構を介した抑制を受けている可能性を報告した。睡眠時の刺激応答性変化に関わるグリシンの中枢作用部位の検討を進めた。5週齢SD系雄性ラットに心電図,筋電図(顎二腹筋前腹,咬筋),脳波,眼電図記録用電極と舌刺激用電極(オトガイ舌筋)を留置した。加えて,両側三叉神経運動核顎二腹筋領域にガイドカニューレを植立し,1週間の回復期間の後に実験を行った。安静覚醒時(QW)にオトガイ舌筋に電気刺激(200 μs,0.2 Hz,5回)を加え,顎二腹筋活動を3/5以上発現させる刺激強度を開口反射誘発閾値(TH)とし,5分間隔で3回計測した(QWB1-3)。その後,安静睡眠時(QS1-3)とその後の覚醒時(QWA1-3)のTHを求め,グリシン(0.2M,0.4 M,0.2 μl/side)を投与し同様の検討を行った。 高用量(0.4 M)のグリシン投与群では有意な睡眠潜時の短縮が認められた。また,QS時の開口反射誘発閾値をQWA時ならびにグリシン非投与QS時と比較して有意に低下させた。本研究の結果から,三叉神経運動核のグリシン受容体機構が睡眠時の刺激応答性変化と関わる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
腹腔内投与から脳内への投与による解析を進め概ね順調に結果を出すことが出来た。結果に関して学会発表を行うことが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
脳幹部のスライス標本を作製し薬物注入部位の同定に関して併せて進めていく。また他薬剤との比較や手術侵襲による開口反射誘発閾値の変化や睡眠深度の変化に関してより詳細に解析を進めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
未使用額が生じた理由は、購入予定であった物品を実験進度に応じて年度を繰り越して購入予定としたためであり、次年度は研究が本格化し、未使用額については次年度研究費と併せて使用する計画である。
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次年度使用額の使用計画 |
研究成果公表のための旅費(国際学会,国内学会)、実験に必要な薬品,消耗品、実験機材等の購入費用、論文投稿および別刷り費用等に使用する予定である。
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