研究課題/領域番号 |
26870549
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研究機関 | 十文字学園女子大学 |
研究代表者 |
安田 哲也 十文字学園女子大学, 人間生活学部, 有期助手 (90727413)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 他者意図理解 / 部分名称獲得 / 教示行動 / 視線タイミング / 語用論的解釈 |
研究実績の概要 |
指示意図を特定するためには、言語情報の読み取りだけではなく非言語情報の読み取りも適切に行う必要がある。平成26年度では、アイコンタクトを行なうタイミングを変化させ教示した場合、指示意図の推測が発達段階により異なるという知見を示唆した。 本年度(平成27年度)では、教示者の発する非言語情報特に頷き等の調整が、どのように指示意図推測に寄与されているかについて、成人を対象に調べた。その結果、教示者が頷きをしない、かつアイコンタクトしない場合では、正しく指示意図を読み取ることが困難であった。この知見に関し、電気学会 電子・情報・システム部門大会の人間モニタリング部会で、発表を行ない、基礎・応用的側面に関しての議論を行なった。また指さしに関して、成人を対象に予備的実験を行い、その知見をEAPCogSci2016で発表した。 また、不一致付けラベル時における、視線方向の読み取りと語用論的解釈に関して、査読付き国際会議The 17th Annual International Conference of the Japanese Society for Language Sciencesでフルペーパーの口頭発表を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施計画書に沿って、平成27年度の研究を遂行した。 研究1の視線タイミングに関する実験については、平成26年度で得られたと考えられる、相手の教え方の状況によって指示意図解釈が異なるという知見を精緻化するべく、成人を対象に、相手の反応を考慮に入れた実験を行った。結果、教示者の応答がない、かつ教示者がアイコンタクトをしていない場合では、指示意図の読み取りが困難であった。状況により、相手とアイコンタクトしている場合の方が指示意図を特定しやすくなることがあり、その状況を突き止める必要性があることが示唆された。この知見に関し、電気学会 電子・情報・システム部門大会の人間モニタリング部会で、発表を行ない、基礎・応用的側面に関しての議論を行なった。視線方向と語用論的解釈に関する実験を行なった結果、4歳児では指示意図理解プロセスに視線方向の精緻性を必要とする可能性を見出した。また、指さしの指し方により語意の捉え方が違うことが示唆されたために、予備的実験を行い、直自適ジェスチャーと象徴性の関係性についての示唆を得た。よって、研究1においては当初の計画以上に進展しているといえる。 研究2の教示行動に関する観察実験の進捗は、データの分析を主に行なった。ダブルコーディング等を利用して分析を行なった結果、教示行動時の指の動きに関し、コードを再定義する可能性が示唆された。このことにより、研究2の進捗はやや遅れていると考えられる。 以上のことから、本申請の研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度の研究推進は、提出した研究実施計画書に沿って行なう。 研究1では、平成26,27年度の実験を基に論文化を行なう。論文掲載が確定した場合は、オープンアクセス化を行なうことを予定している。 研究2では、平成26,27年度で蓄積したデータをデータ分析し、論文化へ繋げる。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究2についてダブルコーディングを行なったところ、コードを再定義する必要が出てきたため、すべてのデータでダブルコーディングをランすることはなかった。そのため、次年度の使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
データの信頼性を高めるために、ダブルコーディングを行うための謝金として用いる他、積極的に雑誌論文へ投稿を行ない、投稿・掲載料として用いる。また、採択された場合には、可能であればオープンアクセス化の費用として用いる。以上のことを行なうことにより、一層の研究推進を図る。
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