研究課題/領域番号 |
26870550
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研究機関 | 浦和大学 |
研究代表者 |
益子 行弘 浦和大学, 総合福祉学部, 講師 (40550885)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 面接技術 / 表情 / 相談援助技術 / interview technique / clinical interview / non-verbal communication / Social Work / counseling |
研究実績の概要 |
本研究は、相談援助場面における相談者の非言語メッセージである態度や表情と援助成果の関連性を検証し、表情のもたらす効果・影響を明らかにすることを目的とする。 福祉施設の相談援助業務において、最も一般的な相談援助の方法は、援助者(相談員、ソーシャル・ワーカー等)が相談室などの個人情報の保護がある程度守られる個室において相談者(クライエント)との対面相談という形式で行われる。しかし、これまで、人間としての援助者の態度や表情が、援助成果にどのような影響を及ぼすのか、研究対象とした例は極めて少ない。そこで本研究では、援助場面における援助者の表情を客観的に分析し、その効果・影響を検証する。 初年度である本年度は、以下の2つの調査・分析を行った。 (1)「相談援助場面のビデオ記録収録、援助成果と援助業務の評価調査」:福祉施設の相談援助場面における援助者の表情の変化に関する調査、相談援助の援助成果および援助業務の評価の調査を行った。協力施設は、山形県にあるA病院およびB病院、宮城県にあるC病院、栃木県にあるD病院、茨城県にあるE病院であり、計10名のソーシャルワーカーに協力をいただいた。 (2)「援助者および相談者の表情の変化と同期性の分析」:このステップでは、援助者および相談者の表情に同期性があるか分析を行った。まず、(1)で撮影した援助者と相談者の動画について、どのような表情が表出されていたか、第三者に観察させ、Ekman(1972)の基本6表情を元に客観的な評定を行った。また、時間軸に沿って、表情がどのように変化していたか、表情の表出時間を測定し、表情の表出度を検証した。さらに、援助者と相談者の表情が同期・連動していたかどうかについても検討し、面談中の相談者および援助者の表情の連動性を検証した。分析は(1)の調査と並行して行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、以下2つの調査・分析を行った。いずれも大きな変更・トラブルもなく、計画書通りに進められている。 (1)相談援助場面のビデオ記録収録、援助成果と援助業務の評価調査 福祉施設の相談援助場面における援助者の表情の変化に関する調査、相談援助の援助成果および援助業務の評価の調査を行った。相談者には相談前に緊急度や深刻度をあらかじめ調査用紙に記入してもらった。調査要領としては、面接時間は30分と設定し、相談内容は1点に限定した。相談者および援助者をカメラに収めるため各1台ずつ、計2台のビデオカメラで撮影した。相談者および援助者の表情を収めるために、相談者、援助者の顔が映るようビデオカメラは三脚に固定し、撮影を行った。相談援助終了後、相談者には、質問紙法および面接法により、今回の相談援助における援助成果および援助業務の評価を行ってもらうこととした。協力施設は、山形県にあるA病院およびB病院、宮城県にあるC病院、栃木県にあるD病院、茨城県にあるE病院であり、計10名のソーシャルワーカーに協力をいただいた。調査は6月20日から開始し、3月7日までに今年度予定していたデータを取り終えることができた。 (2)援助者および相談者の表情の変化と同期性の分析 このステップでは、援助者および相談者の表情に同期性があるか分析を行った。まず、(1)で撮影した援助者と相談者の動画について、どのような表情が表出されていたか、第三者に観察させ、Ekman(1972)の基本6表情を元に客観的な評定を行った。また、時間軸に沿って、表情がどのように変化していたか、表情の表出時間を測定し、表情の表出度を検証した。さらに、援助者と相談者の表情が同期・連動していたかどうかについても検討し、面談中の相談者および援助者の表情の連動性を検証した。分析は(1)の調査と並行して行い、今年度の調査分のデータは分析を終えている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は予定通り進めることができており、最終年度である来年度は、計画の通り、これまでの結果から援助者の表情を統制した模擬面談の実施、模擬面談の結果による援助者の表情と援助成果および援助業務の評価との関連性の検証を予定している。これら分析により、相談援助場面において援助者や表情が、援助成果に実践的に有効であるか否かを明らかにしていく。
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