研究課題/領域番号 |
26870564
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研究機関 | 国立研究開発法人国立成育医療研究センター |
研究代表者 |
井上 永介 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, その他部局等, その他 (50528338)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 予測モデル / 生存時間解析 / 独立打ち切り / c統計量 / Restricted Survival Time |
研究実績の概要 |
平成27年度の研究成果は次のとおりである。 [1]独立打ち切りが成立しないときのc統計量推測方法の開発と評価 提案方法を実際の臨床データに適用し、効率を失わずに計算コストを節約できることを確認した。特に、予測モデル作成時に必須な変数選択時に有用であった。類似研究として、Support Vector Machineで利用されている方法を適用した研究や、1階微分のみを利用する最適化手法を利用した研究が報告されたため、比較対照として追加した。提案する推定量の統計的性質(一致性、正規性)を確認した。本研究結果を論文として投稿するための準備を開始したところである。 [2]独立打ち切りが成立しないときのRestricted Mean Survival Time (RMST)回帰モデルの評価 RMSTの解釈面での有用性と実際に適用した研究の報告が相次いだため、他の研究テーマよりも優先して実施した。RMST回帰モデルとしてInverse Probability Censoring Weighting法とPseudo Outcome法を用いたものが提案されており、両者ともに独立打ち切りの仮定が必要な方法である。上記仮定が成立しない場合、両者は異なる挙動を示すことを発見した。計算機実験を用いた様々な設定でこのことを確認し、数理的にその挙動を説明した。Pseudo Outcome法を利用した方法は効率の面で明らかに有効であるが、バイアスの面でも良いという結果を得た。この結果をJoint Statistical Meeting 2016に登録した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画していた独立打ち切りが成立しないときのE/O比の推定方法の研究ではなく、仮定が成立しないときのRMST回帰モデルの研究を追加で実施したため。RMST回帰モデルで得た結果を研究として実施する方が科学的に有用であると考えた。そのため、計画よりやや遅れているものの、平成28年度内に当初の研究計画は完遂することができる見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
[1]独立打ち切りが成立しないときのc統計量推測方法の開発と評価 得られた研究結果の論文を作成して投稿する。 [2]独立打ち切りが成立しないときのRestricted Mean Survival Time (RMST)回帰モデルの評価 学会発表(Joint Statistical Meeting 2016)を行って、そこで得られたフィードバックをもとに論文を作成し、投稿する。 [3]独立打ち切りが成立しないときのE/O比推定方法に関する研究 これまでに利用した計算機実験の土台を利用して評価を行い、考えている方法が有効かどうかを判断する。論文の構成を作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度計画していた共同研究者との会議、学会参加、論文作成のための英文校正が行えなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
昨年度行えなかった会議、学会参加、論文作成準備は今年度初頭に実施する。
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