研究課題
本年度は,当初の計画通り,日本語状態変化系動詞の使い分けに関する実験刺激の作成および幼児の動詞習得課程に関する調査を行った.刺激の作成では,日本語及び中国語の状態変化動詞の理解及び産出に関する事前調査の結果を踏まえ,最終的に30程度のビデオ刺激を作成した.実験では,日本語を母語とする3-6歳の子どもを対象に調査を行った.調査では研究計画通り,子どもと,話の聞き手とが参照対象の情報を共有する条件と,情報を共有しない条件下において,相手に伝えるための状態変化動詞の使い分け,及びそのたの語彙やジェスチャーの使い分けがどのように異なるかが検証された.幼児の言語的/非言語的参照行動の場面はビデオに記録され,現在,分析のためのデータ書き起こし作業を進めている.現在,約半数ほどのデータの整理が終了している.成果発表に関しては,本研究に関連して前年度から行われていた3-5歳の幼児における色語彙に関する使い分けに関する発達研究について,その成果をフィラデルフィアで行われたSociety of Research for Child Developmentの大会で発表した.学会では多くの当該分野の研究者達とコミュニケーションを取る機会があり,有益な情報交換を行うことが出来た.またこの成果は更にデータを追加し分析を加味した上で,現在認知科学の国際学会であるCogsci2015に投稿され口頭発表に採択されており,現在雑誌論文への投稿を準備中である.
2: おおむね順調に進展している
本年度中に刺激作成,子どものデータ収集までを行えたことは計画通りの進行である.
来年度は,本年度収集されたデータに関する分析を進める.特に3歳~6歳に至る発達過程と,情報共有条件/非共有条件の子どもの振る舞いの違いの二点について分析を進め,それぞれ学会発表,論文執筆へと進めて行きたい.更に今後,他機関と連携しながら,同実験刺激を用いた中国語児に対する調査,第二言語習得に関する調査も進めていく予定である.
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Journal of Memory and Language
巻: 74 ページ: 107-123
10.1016/j.jml.2013.08.003.