研究課題
前年度に引き続き、thymidine phosphorylase (TP)がどのような分子メカニズムでがんの進展に貢献するか検討を行った。次の結果が得られた。1.胃癌組織を用いて、thymidine およびリン酸化された2-deoxy-D-ribose (DDRs)レベルを調べた。Thymidineは、(隣接した非腫瘍組織と比較して)腫瘍組織で減少しており、DRsは逆に増加していた。また、DRsレベルが亢進している腫瘍組織において、エネルギー代謝が亢進していた。2.TP発現がん細胞において、thymidineがglucoseの代替エネルギー源として細胞の生存に貢献するか調べた。解糖系の阻害剤2-deoxy-D-glucose (2-DG) を処理してcolony formation assay を行った結果、TP発現がん細胞はグルコースが利用できない状態に対して生存に有利であることが判明した。3.Thymidine と同様に、2-deoxy-D-ribose (DDR) が解糖系の炭素源になるか検討した。TPを発現していないがん細胞を13C-DDRで処理した結果、DDRが解糖系の中間代謝物質に変換することが明らかになった。
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