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2014 年度 実施状況報告書

陽極酸化チタンを用いた骨芽細胞石灰化メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 26870583
研究機関昭和大学

研究代表者

鈴木 大  昭和大学, 歯学部, 助教 (00585797)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワード骨芽細胞 / 歯科インプラント / 石灰化 / 再生歯学
研究実績の概要

骨形成のメカニズムは諸説あるが完全には解明されていない。申請者は、骨芽細胞を放電陽極酸化処理したチタン板上で培養することにより石灰化が顕著に亢進されることを見出した。本研究では陽極酸化チタンの骨芽細胞石灰化誘導モデルを用いることで、骨形成メカニズムを解明するとともに、骨再生の臨床応用に向けた治療基盤を確立することを目的とする。
リン酸二水素ナトリウム溶液中で放電陽極酸化処理されたチタン板が培養骨芽細胞に対する与える影響を検討するために、マウス初代骨芽細胞を未処理の表面研磨純チタン板と放電陽極酸化処理したチタン板上で培養し比較を行った。平成26年度はまずチタン板上で培養後の骨芽細胞からmRNAを採取しDNAマイクロアレイ解析を行った。その結果、陽極酸化チタン板上で培養した骨芽細胞は未処理の研磨チタンに比べ、209個の遺伝子が上昇し、195個の遺伝子が低下していることがわかった。また、Gene ontology解析によりこれらの遺伝子は石灰化や細胞分化に関わる遺伝子群であることが明らかとなった。特に骨石灰化に重要な非コラーゲン性タンパク質であるOsteocalcin、Bone sialoprotein、Dentin matrix proteinをコードする遺伝子の発現が顕著に上昇することがわかった。
さらにDNAマイクロアレイ解析で変化の見られた遺伝子について、リアルタイムPCRを用いて発現量を比較した結果、DNAマイクロアレイ解析と同様の傾向を示すことがわかった。
そして、DNAマイクロアレイ解析の結果を基に石灰化に関わる各種因子を阻害した実験では、陽極酸化チタンで上昇した非コラーゲン性タンパク質の遺伝子発現が一部抑制されることを見出した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

DNAマイクロアレイ解析により、陽極酸化チタン板上で培養した骨芽細胞は未処理の研磨チタンに比べ、209個の遺伝子が上昇し、195個の遺伝子が低下していることがわかった。また、Gene ontology解析によりこれらの遺伝子は石灰化や細胞分化に関わる遺伝子群であることも明らかとなった。この結果は、これらの発現変化の見られた遺伝子の中に陽極酸化チタンで誘導される骨芽細胞の石灰化を制御しているものが存在する可能性を示唆する。今後は、この候補遺伝子の中から石灰化に深く関わるものを特定する実験を行っていく予定である。
また、DNAマイクロアレイ解析の結果を基に石灰化に関わる各種因子を阻害した実験では、陽極酸化チタンで上昇した非コラーゲン性タンパク質の遺伝子発現が一部抑制されることを見出した。これにより陽極酸化チタンによる骨芽細胞石灰化誘導の経路が一部明らかになった。

今後の研究の推進方策

これまでの実験結果から陽極酸化チタンで誘導される石灰化は骨芽細胞が陽極酸化チタン上に接している必要があると我々は考えている。今後は、陽極酸化チタンの表面性状の解析を基に、足場としてどういった細胞周囲環境が骨芽細胞の石灰化を誘導するのかを明らかにしていく方針である。そして最終的には陽極酸化チタン以外でも、その周囲環境を再現することで同様の石灰化を誘導することを目標とする。
なお、DNAマイクロアレイ解析とシグナル経路の阻害実験により骨芽細胞石灰化の細胞内経路は一部特定しつつあるが、陽極酸化チタンで上昇した遺伝子発現の抑制は一部であるため、陽極酸化チタンで誘導される石灰化機構は複数の経路をたどっている可能性が高い。今後シグナル経路を一つ一つ検証していくとともにそれぞれの相互作用も検討する必要があると考えられる。

次年度使用額が生じた理由

今年度予定していたラット大腿骨のインプラント埋入モデルを用いて陽極酸化処理と未処理のミニインプラントの骨結合能を比較する実験は、ミニインプラント作製段階にとどまり、埋入実験は次年度に本格的に実施することとした。そのため、ラット購入・飼育に関わる費用ならびに解析に要する費用を次年度使用する。

次年度使用額の使用計画

インプラント埋入実験用のラットを購入する。また、その後のインプラント埋入した大腿骨の組織解析と遺伝子解析用の各種試薬と消耗品を購入する。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Cdc42 is critical for cartilage development during endochondral ossification2015

    • 著者名/発表者名
      Suzuki W, Yamada A, Aizawa R, Suzuki D, Kassai H, Harada T, Nakayama M, Nagahama R, Maki K, Takeda S, Yamamoto M, Aiba A, Baba K, Kamijo R
    • 雑誌名

      Endocrinology

      巻: 156 ページ: 314-322

    • DOI

      10.1210/en.2014-1032

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Effects of antibody to receptor activator of nuclear factor κ-B ligand on inflammation and cartilage degradation in collagen antibody-induced arthritis in mice2014

    • 著者名/発表者名
      Funato S, Matsunaga A, Oh K, Miyamoto Y, Yoshimura K, Tanaka J, Suzuki D, Uyama R, Suzuki H, Mishima K, Nakamura M, Namiki O, Baba K, Inagaki K, Kamijo R
    • 雑誌名

      J Neg Results BioMed

      巻: 13 ページ: 18

    • DOI

      10.1186/s12952-014-0018-0

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Oncostatin Mによるネフロネクチン発現制御機構の解明2015

    • 著者名/発表者名
      黒澤珠希、山田篤、高見正道、鈴木大、守村直子、板部洋之、上條竜太郎
    • 学会等名
      日本薬学会第135年会
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      2015-03-27
  • [学会発表] Cdc42 is essential for cartilage development during endochondral ossification2014

    • 著者名/発表者名
      Wataru Suzuki, Atsushi Yamada, Ryo Aizawa, Dai Suzuki, Shu Takeda, Matsuo Yamamoto, Kazuyoshi Baba, Ryutaro Kamijo
    • 学会等名
      ANZBMS 24th Annual Scientific Meeting
    • 発表場所
      New Zealand
    • 年月日
      2014-09-07
  • [学会発表] Cdc42は軟骨分化とそれに続く軟骨内骨化に必須である2014

    • 著者名/発表者名
      鈴木航、山田篤、相澤怜、鈴木大、竹田秀、山本松男、馬場一美、上條竜太郎
    • 学会等名
      第32回日本骨代謝学会学術集会
    • 発表場所
      大阪
    • 年月日
      2014-07-24

URL: 

公開日: 2016-06-01  

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