研究実績の概要 |
本研究課題では,多人数対話場面におけるマルチモーダルデータを分析し,次世代型スキルを評定するためのシステムを開発することを目的としている.本年度は,これまでに成蹊大学の中野有紀子教授と共同研究で収集してきた協調学習及びグループディスカッションにおけるマルチモーダル会話コーパスデータを用いて,以下の3つの取り組みに関する成果を挙げた. (1)協調学習における協調的態度の分析:協調学習会話コーパスデータの発話情報と視線対象情報,そして各参加者の学習課題に関する知識の有無に基づき,ロジスティック回帰分析を用いて参加者の協調的態度を推定するためのモデルを提案した.本成果は国際会議で報告をしている. (2)グループディスカッションにおける参加者の性格特性の分析:個人特性を測る指標として,グループディスカッション会話コーパスにおける各参加者の性格特性データと,ディスカッション時の発話音声の韻律特徴および加速度センサ情報に基づき,Big-five性格特性のうち「外向性」,「協調性」,「勤勉性」の特徴を推定するための回帰モデルを提案した.本研究成果は情報処理学会論文誌への再録が決まっている. (3)韻律特徴に基づく発話タグの推定:発話におけるピッチや話速,抑揚といった韻律特徴に着目し,協調学習における参加者の発話タグを機械学習により自動推定するモデルを提案した.ここでは,発話タグとして「平叙文」,「疑問文」,「同意」,「相槌」,「笑い」の5つのタグを韻律特徴のみから4割強の精度で推定するモデルを実現した.
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