研究課題/領域番号 |
26870588
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
林 佑樹 大阪府立大学, 現代システム科学域, 助教 (40633524)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 協調学習 / マルチモーダルインタラクション / 言語・非言語情報 / 自己内対話 / 論理的思考能力 / 思考モニタリング |
研究実績の概要 |
次世代型スキルを評定するためのシステムを開発に向けて,本年度はシステム構築を中心とした以下の2つの取り組みに関する成果を挙げた. (1)マルチモーダル情報を扱うための協調学習プラットフォームの構築:協調学習時にやり取りされる視線や音声,筆記動作といった言語・非言語情報を扱うために,リモート環境で動作する協調学習プラットフォームを構築した.本システムは,マイクやアイトラッカ,デジタルペンといった各種センサ外部機器を追加可能な形で構成され,並列に流れてくるデータをリアルタイムに処理できる構成となっている.学習形態に合わせた学習ツールも容易に追加・利用できる構成となっており,様々な学習状況に適用可能なマルチモーダル情報を計測するための対話環境を整備した. (2)自己内対話プロセス計測システムの開発:問題解決に向けた知識創造的な議論を実現するためには,あらかじめ個々人でその議論内容について自己内対話を行うことが重要である.ここで求められる論理的思考能力や批判的思考能力を次世代スキルの一つとして捉え,協調学習に対する参加者の事前学習への取組みとして,葛藤構造を論理立てて表明するタスクにおける学習者・添削者の思考モニタリング・コントロール過程を視線情報に基づき分析するためのシステムを構築した.本システムを用いて収集した医療従事者の成果物に対する添削者のデータを分析した結果,添削者の思考吟味プロセスに解釈を与えられる可能性が示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
次年度に実施する予定であったマルチモーダルデータ観測環境として,リモート環境で動作する協調学習対話プラットフォーム開発に取り組み,プロトタイプ・システムが動作する段階まで進捗している.また,当初の研究実施計画を拡張し,昨年度実施した協調学習時の参加者特性の分析に加えて,対話内容に対する参加者の事前学習への取組みから論理的思考能力や批判的思考能力の分析・モデリングに向けた思考表明過程の分析システムを構築しているため,おおむね順調に進展していると評価した.
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策として,構築を進めているマルチモーダルデータ観測環境における協調学習を実施し,初年度にモデル化した参加者特性を推定できるかを明らかにしていく予定である.また,自己内対話計測システムを用いたデータ収集実験を行い,思考能力を測るための推定モデルを構築することを計画している.
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