研究課題
平成26年度はまず、乳癌におけるアンドロゲンレセプター(AR)発現と予後との関係を外科学会で発表した。内容は4つのデータセット(GEO accession number:GSE2034, GSE7390, GSE11121, GSE16716)から917の原発性乳がんの遺伝子発現についてメタ解析を行った。さらにARのmRNA発現レベルについてカプランマイヤー曲線を用いて予後解析を行った。4つのデータセットですべてARのmRNA発現はER陽性乳癌でER陰性乳癌よりも有意に高かった。(P-value = <0.001)すべての乳癌患者でARの発現レベルと予後との関連を検討したところ、AR低発現に比べ、高発現の患者で有意に予後が悪かった。(P-value=0.007) サブグループ別の解析では、ER陽性HER2陰性のグループではARの低発現が高発現に比べ予後不良であったが(P=0.027)、TNBCにおいてはAR高発現が低発現に比べ予後不良の傾向(P=0.056)であった。ARはER陽性乳癌で発現が高い事が示された。ER陽性乳癌においてはARの高発現は予後良好因子であり、TNBCでは予後不良因子となる傾向が認められた。上記の所見を基に当院で行われた平成26年度の乳癌症例に対しARの免疫染色を行い、内容を平成27年の日本臨床腫瘍学会で発表予定である。これらを基にアンドロゲンレセプターをターゲットとした治療の効果が見込める症例群を同定する。
2: おおむね順調に進展している
おおむね順調にデータがそろってきている。
すでに公共データセットを用いたマイクロアレイほメタ解析を終了し、症例を用いて免疫染色を終了し、データ解析を行っているところである。本年度は内容をまとめ、論文にする予定である。さらに追加でマイクロアレイ解析も検討している。
免疫組織学染色を400枚のスライドで行ったが病理学教室からの請求が遅れているため
前年度の免疫組織学染色の染色費用の請求と、マイクロアレイ解析を追加で行う予定である。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件)
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