研究実績の概要 |
眼疾患に基づく眼光学系の変化は、視覚情報の波長情報だけでなく、空間的な要素にも強く影響を及ぼす。この視覚入力の空間的要素の変化がどのようにヒト脳内で情報処理され、羞明が惹起されるのか。この問題を解明することが本研究の目標である。本年度は羞明の脳回路を解明するための1)視覚入力方法および2)脳地図の解明を行った。 1)羞明を惹起する視覚入力を作成するために、白内障を代表とする前眼部病変を持ち、強い羞明を訴える患者、また訴えない患者の全眼球収差を計測した。羞明の有無と特定の収差成分が関連するか今後解析していく。 2)羞明は、単純に視覚刺激の入力量だけで依存せず、認知や注意といった高次の脳機能により左右される可能性がある(堀口 2009, 2010,2013)。そのため、視覚刺激から生じる注意と関連する脳領域の同定は、羞明の脳回路を解明していく上で非常に重要であると考えられる。Cerebral Cortex誌上に、側頭頭頂接合部内の視覚に反応する領域について報告を行った。Horiguchi H, Wandell BA, Winawer J.A Predominantly Visual Subdivision of The Right Temporo-Parietal Junction (vTPJ). Cereb Cortex. 2014 Sep 29. pii: bhu226. また、日本眼科学会総会のシンポジウムで羞明の脳内メカニズムに関する講演を行った。 「2つの入力経路で考える羞明の脳内メカニズム. シンポジウム6, ロービジョンの科学. 第118回日本眼科学会総会」 他の学会にも出席して、多角的な側面から羞明のメカニズムについての解明に取り組んでいる。
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