研究課題
眼疾患により生じる眼光学系の変化は、視覚情報のもととなる光の波長成分の変化のみならず、視覚情報の空間的な要素に対しても強く影響を及ぼす。この変化により羞明がどのように変化するか、眼光学から網膜、脳内における視覚情報処理に注目して問題を解明することが本研究の目的である。最終3年目となる平成28年度では、前年度施行した白内障手術前術後の羞明および波面収差の関係性について解析を進めた。 アンケートで収集した自覚的な羞明スコアと波面収差の関係を調査した。自覚的な羞明スコアから、軽減群、不変群、増悪群と分類した。症例数が少ない増悪群を除いて、軽減群と不変群の間で比較検討したが、術前、術後および術前後変化量において、両群間の間には有意に異なる高次収差を認めなかった。しかしながら、羞明スコアと高次収差から散布図を作成したところ、術後の羞明スコアとコマ収差の間に中等度の正の相関を認めた。術前スコアと高次収差の間にはこのような相関を認めなかった。この結果からは、術前は白内障による光の散乱が、高次収差より羞明を強く惹起するが、術後に光の散乱が減弱すると高次収差成分による羞明が顕性化すると考えられる。本研究成果はAmerican society of cataract and refractive surgery 2017で発表された。広く発信するために論文執筆中である。これまでに得られた羞明の知見に関して、ブルーライトに関する教科書の章を担当して発表した。(堀口浩史. 羞明とブルーライト. 坪田一男編. ブルーライトテキストブック. 第1版. 東京. 金原出版; 2016. 77-83)また、羞明との直接的な関連の調査とは異なるが、羞明を引き起こす疾患で罹患患者数の多いものに緑内障がある。 この緑内障に対する多剤併用治療に関するデータ解析と論文執筆の補佐を行った。
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Journal of Ophthalmology
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10.1155/2017/4398494
https://vistalab.stanford.edu/publications/
https://wp.nyu.edu/winawerlab/publications/