本研究では,顔,声,および顔と声の相互作用に焦点を当て,3つの実験を通じて共感性と互恵的行動の生起にこれらの要因が及ぼす影響について検討した.実験1では、共感を高める要因として氏の類似性を取り上げ、顔と氏の対を刺激とした最後通告ゲームを行った.実験2では音声聴取実験を行い,非難表出におけるアクセント位置が感情理解に及ぼす影響を検討した.実験3では,社会的文脈が顔と声による感情判断に及ぼす影響を検討した.実験1から,氏という個人情報の類似性が他者への援助行動に及ぼす影響はみられなかった.実験2と3から,他者の言動の対象を含む高次感情の判断では,顔よりも音声が重要な役割を担うことが示された.
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