本研究では、これまで分子間の電荷移動錯体を利用することで液晶分子の分子配向を制御できる新しいタイプの配向膜を開発し、これらを用いて作製した液晶デバイスの機能発現のメカニズムを解明することを目的としている。短期間で配向制御できる高分子膜の材料設計法を提案すると共に、新しい液晶デバイスを開発していくことを目的としている。これまでの研究成果を以下にまとめる。 (1)他の電荷移動錯体を形成する高分子材料の設計 これまでのポリイミドの分子構造を一部変更させた電荷移動錯体を形成するポリイミドを新規に作製し、その液晶配向特性について系統的に研究を行った。これらを分子構造に起因する電子状態が光反応のしやすさに大きく依存していることが明らかとなった。 (2)新しいカラー液晶デバイスの作製 これまでの研究で配向膜に関する研究を終え、次の段階としてデバイスのおける研究に展開していった。電子ペーパーや調光ガラス用途で注目されるゲストホスト型液晶デバイスに関する研究を行った。グリーン、グレー、イエロー、マゼンタ、シアンと様々な色を有する液晶デバイスを作製した。混合色においても均一に分散する液晶デバイスを作製することに成功した。 (3)カラー液晶デバイスデバイスの駆動特性評価用の電子回路設計 (2)で得られたカラー液晶デバイスの駆動特性に関する研究を行った。液晶デバイスの動作モードにはTN型、IPS型、VA型と様々なタイプがある。セルの配向モード、電極構造を変えた様々なセルを作製し、その駆動特性を特性評価用を電子回路を設計しながら進め、TN型で1.5V程度の低電圧で十分なコントラストを得られることに成功した。
|