研究課題/領域番号 |
26870613
|
研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
片桐 文彦 東京薬科大学, 薬学部, 助教 (60420642)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | ペプチド / 受容体 / 線維芽細胞 / 接着 / 遊走 |
研究実績の概要 |
受容体に特異的に結合する分子プローブの開発は、受容体の機能解析に留まらず、疾患の原因解明や創薬に直結する。インテグリンやシンデカンなどサブタイプが多く存在する受容体に特異的に結合する分子プローブの開発には、低分子化合物ライブラリーを用いたスクリーニングが効率的であると考えられる。本研究課題では、申請者らが所有する基底膜タンパク質ラミニンのアミノ酸配列を網羅するラミニンペプチドライブラリーのスクリーニングによって見出された機能性ペプチドをケミカルバイオロジーの手法を取り入れて、ラミニンの受容体結合部位の同定を行うとともに、受容体特異的な分子プローブの開発を目指す。 申請者らは現在までに、全11種類のラミニンサブユニット全てのアミノ酸配列を網羅する合成ペプチドライブラリーの作成を完了している。また、現在までに、複数のインテグリン結合、2種のジストログリカン結合ペプチド、多数のシンデカン結合ペプチドを見出している。 今年度はこのラミニンペプチドライブラリーのヒト皮膚線維芽細胞(HDF)を用いた細胞接着スクリーニングを完了させた。接着活性を示したペプチドは、ヘパリン/EDTAによる細胞接着阻害効果を評価した。一部のペプチドは抗インテグリン抗体などを用いて受容体の同定を行い、論文、学会にて発表した。また、HDFを用いた細胞遊走スクリーニングをラミニンγ鎖配列由来ライブラリーから開始した。一方、申請者らが既に見出している機能性ペプチドより、C16ペプチド、A2G10ペプチド、A2G80ペプチドのAla置換ペプチドを合成し、構造活性相関研究を開始した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通り細胞接着スクリーニングは終了した。しかし受容体を特定できていないペプチドライブラリーが数セットあり、来年度に実施予定である。細胞遊走活性のスクリーニングは予定通りに開始し、順調に進行している。また、既知の機能性ペプチドの構造活性相関研究にも着手しており、来年度以降さらに展開を予定している。
|
今後の研究の推進方策 |
接着活性を示したペプチドで、ヘパリン/EDTAによって細胞接着活性が阻害されたペプチドを、プロテオグリカン過剰発現細胞、抗インテグリン抗体などを用いて受容体の同定を行う。また、既知の機能性ペプチドの構造活性相関研究をさらに展開する。受容体が特定されていないペプチドを対象にAla scanなどで必須アミノ酸の同定を行うとともに、光親和性標識を導入して受容体の同定を試みる。細胞遊走、走化性スクリーニングを継続して行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
抗インテグリン抗体による受容体同定が完了せず、抗インテグリン抗体の購入量が予定より少なかったため。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度に繰り越した実験を実施するため、試薬(抗インテグリン抗体)購入代に充てる。
|