研究課題/領域番号 |
26870617
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
松隈 大輔 東京理科大学, 理学部, 助教 (30569174)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 酸化還元活性 / ポリエチレングリコール / ピリジン / ブロック共重合体 / 金属ナノ粒子 |
研究実績の概要 |
我々はこれまでに、Poly(ethylene glycol) (PEG) およびPyridine acrylate モノマー(Py) を構成成分とするブロック共重合体(PEG-b-Py) が、特異な酸化還元活性を示すことを発見した。興味深いことに、酸化還元活性はPEGとPyがブロック状に連鎖する時のみ観察され、構成するモノマー単位やその混合物、さらにはランダム共重合体では観察されない。これらの結果は、シンプルな構造を持つ完全合成系の高分子が、限定された分子配列においてのみ二次的な機能を発揮することを意味しており、生体分子と類似した構造機能を発現することを示唆している。 本提案研究では、PEG-b-Pyの酸化還元活性を詳細に観察し、それら機能を利用した機能性金属ナノ粒子の創製を目指している。 平成26年度は、まず分子構造を種々に変化させたPEG-b-Py の酸化還元活性を調査することで、高分子の還元力を決定する分子構造因子を調査した。PEG-b-Py が示す酸化還元活性は、ピリジンセグメントに依存して定量的に変化したことから、ピリジン部が酸化還元活性の決定因子であることを明らかとした。さらに、有機色素をプローブとして用いた調査から、PEG-b-Py の酸化還元活性は、電子種の放出に起因することを明らかとした。 次に、PEG-b-Py存在下における金属イオンの還元反応を観察した。塩化金水溶液あるいは硝酸銀水溶液に対してPEG-b-Py を添加すると、時間経過とともに金属ナノ粒子が自発的に生成した。還元反応速度は、PEG-b-Pyの酸化還元力と定量的に相関することを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
酸化還元活性を示す構造因子の決定は、以後に続く機能性金属ナノ粒子の合成に大きく寄与するため、詳細に明らかにする必要があった。高分子の構造バラエティを調査することで、酸化還元活性を定量的に定義することは、26年度の大きな達成目標であった。
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今後の研究の推進方策 |
PEG-b-Py が示す酸化還元活性を有機化学的に立証できたため、27年度はこれらの機能を利用した機能性金属ナノ粒子の合成を行う。具体的には、複数の金属元素から構成される合金ナノ粒子を合成し、その触媒活性能について調査する。
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次年度使用額が生じた理由 |
消耗品のまとめ買い購入による単価変動により、10,500円が次年度への繰り越しとなった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の消耗品使用に加算し、使用する。
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