本研究では、「協調学習・作問学習・ブレンディッドラーニング」を組み合わせた学習方法の有効性を明らかにするため、「利用者による問題(質問文、解答、解説)の作成、編集、削除機能」「作成された問題をランダムに組み合わせて試験形式で出題する機能」「問題作成数に応じた受験回数制限機能」という特徴を有する学習支援システム(以降、Social Based Training:SBTとする)を開発し、「SBTを用いた自己学習」と「SBTを用いたブレンディッドラーニング形式での授業や研修」の観点で評価を行った。 「SBTを用いた自己学習」の評価では、被験者に「情報セキュリティ基礎」の授業内でSBTを利用してもらい、アンケートと筆記試験を実施した。アンケートによる主観的評価ではシェッフェの一対比較法(中谷の変法)を用いたところ、有効な学習方法であることが示された。筆記試験による客観的評価では自己学習前後で試験を実施したところ、試験結果に有意差はみられず有効な学習方法であることを示せなかった。 「SBTを用いたブレンディッドラーニング形式での授業や研修」の評価では「医療情報基礎知識検定試験」と「基本情報技術者試験」を題材として、対面授業とeラーニングを併用したブレンディッドラーニングをおこない、資格試験を受検してもらった上でアンケートを実施した。「医療情報基礎知識検定試験」では試験結果とアンケート結果より、「意欲的になれるか」と「理解を深められるか」の視点では有効性を示せたが、「効率的か」の視点では有効性を示せなかった。「基本情報技術者試験」では試験結果とアンケート結果より、「意欲的になれるか」と「効率的か」の視点では有効性を示せたが、「理解を深められるか」の視点では有効性を示せなかった。 本研究の目的は一部達成できなかったものの、副次的な成果として公的な資格試験を用いた評価手法を確立できた。
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