本研究の目的は、1945年から72年まで日本と切り離され、アメリカの施政権下に置かれた沖縄において、女性がどのように日本復帰運動に取り組んできたのか、活動内容を実証的に検討し、分析することである。具体的には、女性の復帰運動を牽引した沖縄教職員会婦人部と、沖縄婦人連合会が中心となる。それぞれの本土側の関連組織である日本教職員組合婦人部、全国地域婦人団体連絡協議会にも注目する。 2017年度は、最終年度のため、沖縄県立図書館、沖縄県公文書館、宮古島市立図書館、鹿児島県立奄美図書館、鹿児島県教職員組合奄美地区支部で、補完的に文献・文書の資料調査を実施し、整理・分析に努めた。加えて当事者及び関係者にインタビュー調査を実施した。 沖縄婦人連合会の復帰運動について、初期に中心的に関わった人物の一人に注目し、沖縄文化協会研究大会にて、「砂川フユ研究―沖縄初の女性校長のライフヒストリーが描く近現代」と題し、2016年度の既発表論文をふまえ、新たに判明した成果を加えて口頭報告を行った。 研究課題の総括的成果として、沖縄婦人連合会の復帰運動と、沖縄教職員会婦人部の復帰運動について、Okinawan Cultural Studies in Tokyoにて、「沖縄における女性の復帰運動に関する社会学的研究―沖縄教職員会と沖縄婦人連合会と中心として」と題して口頭報告を実施した。その際、両者の特徴、相違点、共通点、関係性を踏まえ、沖縄における女性の復帰運動について考察した。
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