研究課題/領域番号 |
26870628
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
井上 全人 明治大学, 理工学部, 准教授 (60365468)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 設計工学 / 設計支援システム / 環境配慮設計 / 多目的満足化 / エージェント技術 / CAD |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,不確実な情報が含まれる初期設計段階から様々な製品展開と製品ライフサイクル全体の環境負荷削減を両立させる多目的設計を可能とし,設計者の思考スピードを加速させ,意思決定を支援する環境配慮型ライフサイクル設計システムを構築することである.そのために,以下の3つのPhaseに分けて実施した. (Phase 1)複数の評価システムが自律的に設計修正をセンシングして多目的評価を行う3D-CADベースシステムの構築, (Phase 2)不確実な情報が含まれる初期設計段階において多目的設計が可能なシステムの構築, (Phase 3)構築システムの事例適用による検証 2015年度は,どのような評価システムであっても追加や削除がしやすいように,多目的評価が可能なシステムのフレームを構築し,(Phase 2)「不確実な情報が含まれる初期設計段階において多目的設計が可能なシステム」を開発した.申請者は,一連の研究において,初期設計段階の不確実な情報を設計者の選好度付き範囲集合として取り扱うことで,設計者の設計意図を反映した多目的設計解集合の導出が可能なセットベース設計手法を提案している.そこで,セットベース設計手法を開発したシステムに多目的設計のソルバーとして導入することで,初期設計段階の不確実性を考慮しながら製品の信頼性も環境問題も同時に満足する多目的設計を可能とする製品のライフサイクル設計システムに発展させた. さらに,(Phase 3)の新たな適用事例として,スティック型サイクロン掃除機の3D-CADモデルを用い,環境要求と性能要求を同時に満足する多目的設計問題に適用し,環境要求(環境負荷量CO2 [kg],NOx [kg],SOx [kg])の3目的と性能要求(吸い込み仕事率)を満足する多目的満足解集合を導出した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画では,(Phase 1)複数の評価システムが自律的に設計修正をセンシングして多目的評価を行う3D-CADベースシステムの構築,(Phase 2)不確実な情報が含まれる初期設計段階において多目的設計が可能なシステムの構築,(Phase 3)構築システムの事例適用による検証のうち,2015年度は(Phase 2)のみを実施する予定であったが,(Phase 2)の有効性を検証するために,(Phase 3)まで実施できたため.
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今後の研究の推進方策 |
環境配慮型ライフサイクル設計のうち,経時的に価値が低下した製品に対し,価値劣化に関連する機能を,製品構成要素の交換,または追加によって向上させ,陳腐化した製品価値を再向上させるアップグレード設計手法に発展させ,製品機能,製品価格,製造企業の利益,環境負荷量に対する多目的要求を同時に満足させる新たなアップグレード設計手法を新たに提案し,(Phase 3)構築システムの事例適用による検証を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
計画段階で購入予定だった検証用計算機について,前年度に購入した計算機を活用することができ,予定金額よりも削減できたため。 一方,当初予定よりも学会発表を行うことができたため,旅費の支出が計画よりも多くなったが,上記の削減効果により,最終的に計画よりも少ない支出で研究を実行できた。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度は,国際会議での研究成果発表,および海外調査・研究打ち合わせを予定しているため,海外旅費として使用する。
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