これまで史料の制約により困難であった、19世紀後半のハワイ併合問題にかかる「一般的アメリカ人」の外交意識の心象風景を把捉するため、同時代の紙誌に掲載された風刺マンガを視聴覚史料として扱い、その析出を試みた。 最終年度はこれまでのハワイ大学ハワイアン・コレクション、ハワイ歴史協会アーカイヴス、ハワイ州立公文書館、ハワイ州立図書館群での史料調査を受けて、成果公表とその準備を行った。口頭報告として、金澤宏明『20世紀転換期のアメリカ島嶼領土の地位と市民権 ──ハワイの人種表象にみる他者性の変遷とその境界──』明治大学西洋史フォーラム、於:明治大学(2017年9月30日)を行った。これは前年度に行った主催シンポジウムと史料のキュレーション展示会での研究者との応答や反応を受けて、風刺マンガ史料に内在する視覚パラダイムの側面を報告したものである。 文章としては、(1)単著(2018年度刊行予定)『アメリカ海外領土膨張(仮)』の第1章で本研究の成果を用いる(全5章予定)。さらに(2)本科研の収集史料や研究過程を載せた『ニューズレター』を諸研究会で2種類配布した(今後、研究代表者のWEBサイトにPDF形式で掲載予定)。また、(3)ハワイ併合問題(及びアメリカ海外領土問題)の風刺画研究の英語論文を執筆中である(2018年度中に海外査読誌に投稿予定である)。 また、20世紀転換期のアメリカの領土問題と戦争に関する風刺マンガ史料のWEBサイトを作成している(現在は一時中断中)。これは、史料図像や図表の版権などの問題から、本研究成果を含む(1)単著及び(3)の英語論文の刊行後に再公開する。
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