これまで史料の制約により困難であった、19世紀後半のハワイ併合問題にかかる「一般的アメリカ人(アメリカ人主流派)」の外交意識の心象風景を把捉するため、同時代の紙誌に掲載された風刺マンガを視聴覚史料として扱い、その析出を試みた。 ハワイ大学ハワイアン・コレクション、ハワイ歴史協会アーカイヴス、ハワイ州立公文書館、ハワイ州立図書館群などでの史料調査を行い、本研究は、こうした同時代紙誌に掲載された風刺マンガの中に、アメリカ人主流派の外交意識が集約的に構成され、またそこには彼らが持つ対外領土の先住民や市民に対する「白人の優越」に基づいた人種差別表象の視覚パラダイムが内在したことを明らかにした。
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