研究課題/領域番号 |
26870635
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
島崎 敢 早稲田大学, 人間科学学術院, 助教 (70508358)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 自転車利用者の事故防止 / 歩行者の事故防止 / ハザード知覚訓練 / 標準データの蓄積 / 自転車利用者視点映像の作成 / 歩行者視点映像の作成 |
研究実績の概要 |
本研究では,自転車利用者や歩行者などの交通弱者が危険な対象をより早く,適切に発見できるようになる訓練ツールの開発を目指している.先行研究では,自動車ドライバー向けの同様の訓練ツールを開発してきたが,訓練に用いる映像刺激がいずれも自動車ドライバー視点であるため,自転車利用者や歩行者向けの訓練ツールとしては利用できない. そこで平成26年度は,自転車利用者・歩行者視点での訓練用刺激映像を撮影し,その映像を用いた訓練を多数の訓練者に実施してもらい,標準的な成績の蓄積を行った. まず刺激映像の撮影にあたり,カメラの取り付け位置やマウント方法,撮影画角などの検討を行い,自転車利用者視点の走行映像を約100時間分撮影した.撮影された走行映像から,他の交通とのコンフリクトが発生しているヒヤリ・ハット場面を抜き出した.次に,これらの映像を,先行研究で開発済みのハザード知覚訓練ツール「HazardTouch」で利用できる形に加工を行った.さらにこの刺激映像を組み込んだ訓練ツールを,一般の自転車ユーザーに使ってもらい,それぞれの場面のハザード(ヒヤリ・ハット対象)に対する標準的な反応率(ヒヤリ・ハット対象を予測できた割合)や反応時間(ヒヤリ・ハット対象を予測してタッチするまでの時間)のデータを蓄積した.ここで蓄積された反応率や反応時間から算出された平均値や標準偏差を,今後訓練を実施する個人の値と比較し,訓練者個人が分布全体の中のどのあたりに位置するのかを検討する予定である.また,本年度の訓練参加者から,使用感やわかりやすさ,興味が湧いたかどうかなどの,様々な主観評価を得ており,今後の改良の資料とする予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成26年度は研究代表者が所属機関での任期最終年度であり,就職活動(特に研究業績を各機関の独自フォーマットに合わせる作業)に多くの時間を取られてしまった.
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今後の研究の推進方策 |
今年度は昨年度作成した自転車用訓練映像の標準データの蓄積を継続すると共に,歩行者視点の刺激し像も作成し,歩行者用の標準データの蓄積も行う.さらに,自転車利用者や歩行者に訓練を実施した場合の訓練前後の自転車運転行動,歩行行動の変化を観察し,どの程度の訓練効果が見られたかを検討する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の実施が若干遅れた. 計画時よりも機材価格が下がった.
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次年度使用額の使用計画 |
遅れた分は平成27年度の研究実施時に使用する. 機材価格低下による余剰分は実験参加者の追加に充て,より信頼性の高いデータを蓄積する.
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