研究課題/領域番号 |
26870644
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小高 敬寛 東京大学, 総合研究博物館, 特任研究員 (70350379)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 考古学 / 先史学 / メソポタミア / 国際情報交換 / イラク・クルディスタン |
研究実績の概要 |
今年度の研究実施計画では(1)シャフリゾール地域・先史遺跡における表面採集資料の調査記録整理(4~7月)、(2)テル・べグム遺跡の出土資料調査(8月)、(3)テル・べグム遺跡出土資料の調査記録整理(9~1月)、(4)シャフリゾール地域・先史遺跡における表面採集資料の調査(2~3月)の4項目の遂行を予定していた。 まず(1)については、予定通り25年度の現地調査で持ち帰った成果物を電子化し、調査報告や資料調査に備えた加工を行った。しかし、(2)について準備を進めていたところ、出国直前になって用務先に隣接するイラク北部で米軍等による大規模な軍事作戦が始まり、交通や治安の混乱が危惧される事態に陥ってしまったため、急きょ延期せざるを得なかった。したがって、(2)を受けて実行するはずであった(3)にも大きな影響が出てしまったが、25年度末に実施した資料調査記録についてはオランダ・ライデン大学のO. Nieuwenhuyseらとともに整理作業を進め、結果として英文で調査成果を報告する論文を共同執筆することができた。これは現在、British Insitute for the Study of Iraqが発行する査読付き国際学術誌Iraqに投稿中である。 2~3月は(4)と合わせて延期していた(2)を遂行すべく、関係諸氏と予定の調整を図ったが、シャフリゾール地域の調査代表者であるミュンヘン大学のS. Muehl、テル・べグム遺跡の調査代表者であるO. Nieuwenhuyse双方の諸事情により、計画実施の態勢が整わず、再度延期を余儀なくされた。ただし、これらはそれほどの遅延なく、27年度4~5月には実施できる見込みである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
26年度に予定していた現地渡航を伴う調査活動は、残念ながら用務先周辺の情勢変化等により、まったく遂行できないままに終わってしまった。一方で、国内に持ち帰った調査記録の整理作業については、ほぼ滞りなく進行し、一定の研究成果が提示できる状況にまでたどり着いている。また、26年度の現地調査の遅延についても、27年度の早い段階で回復できる見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
26年度に生じた研究の遅延は27年度の早い段階で回復する。そのために、27年度は4~5月に現地調査を追加して実施し、その後の調査記録の整理作業については、研究補助者の雇用を拡大して作業量の増加に対処する。 その他は基本的に当初の計画通り遂行するが、今後も情勢変化等の可能性が危惧されるため、国内および現地の関係諸機関はもとより、ドイツ・オランダ・イギリス等の関係諸氏とも、引き続き連絡・連携を深めつつ対応する。 また、本事業完了後の研究展開を視野に入れて、新規の遺跡調査開始に係る予備的検討を兼ねた現地調査を志向していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
26年度の旅費および人件費・謝金の支出額が計画を大幅に下回った。旅費の支出額については、予定していた現地調査を用務先近隣の情勢変化により延期したための減少である。その成果物を含めて行う予定であった調査記録の整理作業に関しても、作業量の縮減で研究補助者を長時間雇用する必要がなくなったため、人件費の支出が抑えられる結果となった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額については、26年度の代替として27年度4~5月に予定している現地調査の旅費に使用する。また、それに伴って当初の予定より作業量の増加が見込まれる調査記録の整理作業に係り、研究補助者の雇用を拡大して対処するため、その人件費にも使用する。当初から27年度に計上していた予算については、元来の予定通り使用する。
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