昨年度までに,当初の計画とは若干異なるものの,非線形計画問題の数値解に対する誤差評価という点では目標を達成し,研究の推進方策をこれまでに得られた手法の拡張・改良を行うとともに当初の計画に準じた手法の検討を行うこととした. 本年度は前年度までに得られた最小化問題に関連する精度保証付き数値計算法の拡張・改良を行うとともに,当初に計画していた中尾の方法を応用した離散化誤差の検証について検討を行った. 等式制約付き凸二次計画問題に対応する,鞍点型行列を係数にもつ線形連立方程式に対する数値解の精度保証付き数値計算法については,査読結果に基づいた若干の修正を加えるとともに追加の数値実験を加えて提案手法の有用性を示すことにより,国際的な査読付き学術誌に論文が掲載受理された. 等式・不等式制約付き凸計画問題に対する数値解の精度保証付き数値計算法については,昨年度に投稿した査読付き国際会議論文が受理された.これについては数値実験を重ねるとともに,実験結果による知見・口頭発表へのコメントを基に修正を検討しつつ,現時点での研究成果について査読付き学術誌への論文投稿を準備している.これは国際会議論文として発表した時点の理論では,非線形計画問題に対する一意解の存在証明と数値解の誤差評価という目標は達成できているが,しかし精度保証付きで内点法を考える際に実行可能領域の境界付近に解がある場合では精度が落ちるという問題が見つかったため,精度向上のための改良を進めている. 中尾の方法の応用による離散化誤差の検証に関連して,最小化問題の形式ではないものの,放物型方程式の離散近似解に対するオーダー最良な誤差評価法について論文にまとめ,査読付き国際的学術誌へ投稿した.
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