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2014 年度 実施状況報告書

行為経験に基づいた概念の形成とその組み合わせ操作を行う認知メカニズム

研究課題

研究課題/領域番号 26870649
研究機関早稲田大学

研究代表者

有江 浩明  早稲田大学, 理工学術院, 助教 (20424814)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワード記号設置問題 / ニューラルネットワーク / 認知発達ロボティクス
研究実績の概要

自らの行為経験から概念を形成し、それらを組み合わせることによって新たなパターンを生成することは、人の持つ高次な認知的能力の一つである。本研究課題では、適切な組み合わせ操作を行うためには、概念が実世界に対応づけられている必要があるという仮説に基づき、経験によって得られた感覚運動情報から、組み合わせ操作可能な概念を形成する過程を、構成論的アプローチにより理解することを目的としている。これを実現するために、平成25年度の研究計画には、(A)ロボット実験プラットホームの整備と(B)概念の創発的学習モデルの開発を挙げていた。各項目における研究実績を以下にまとめる。
(A)ロボットによる物体操作課題を設定し、これを行うためのロボットプラットホームの開発を行った。具体的には、小型ヒューマノイドロボットから各種センサ情報を取得し学習器へ渡すプロセス、および学習器からの出力を用いてロボットの運動を制御するプロセスを実装し、実験環境を構築した。
(B)概念の創発的学習モデルとしてSCTRNNと呼ばれる人工神経回路モデルを用いる枠組みを構築した。また、予備的な実験において、人工神経回路モデルの内部に、組み合わせ的操作を表象する構造が獲得される可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成25年度の研究計画、(A)ロボット実験プラットホームの整備と(B)概念の創発的学習モデルの開発に関して、以下のように進捗を評価する。
(A)小型ヒューマノイドロボットを用いた物体操作課題を設定した。具体的には対象物の色が3色、ロボットのとる行為が2種類として、計6パターンの組み合わせが含まれる課題とした。また、この課題を行うために必要となる色情報を取得するため、ロボットの頭部に搭載されたカメラから画像を取得し、特徴量を計算するプログラムの実装を行った。また、学習器として用いる人工神経回路モデルにこの特徴量を入力し、学習器から得られた出力をロボット制御器に渡すプログラムの実装も行った。以上のように、実験プラットホームの整備は順調に進んでいると考えられる。
(B)上記の物体操作課題を実行した際に得られる感覚運動情報を学習させ、SCTRNNと呼ばれる人工神経回路モデルが、組み合わせ的な構造を学習できることを確認した。さらに詳しく解析を行ったところ、組み合わせ的な構造が人工神経回路モデルの内部状態に幾何学的に埋め込まれることを明らかにした。従って、当初計画していた25年度の目標は達成されていると考えられる。

今後の研究の推進方策

今後は当初計画に従い、25年度に実現した概念の組み合わせ学習を行う人工神経回路モデルを用いて、対象物と操作の種類を増やし、汎化学習の能力に関する検討を行う。特に、未学習の組み合わせを実行しようとした際に、すでに獲得されている概念を組み合わせることで、実世界で適切な行為を生成しうるのかという課題を扱う計画である。また、実ロボットを用いることで、実験者による実験環境への物理的な介入が容 易になるので、様々な未経験状況でのロボットの汎化能力を観察する。

次年度使用額が生じた理由

当初計画では全身型のヒューマノイドロボットを購入する予定であったが、ロボット実験タスクの検討を進める中で、上半身型のヒューマノイドロボットの方が適当であることが明らかとなり、購入するロボットを変更した。これにより次年度使用額が生じた。

次年度使用額の使用計画

予備的な実験で、人工神経回路モデルの学習計算に長い時間がかかることが明らかとなった。この問題を改善するため、27年度に購入予定であっる学習計算用サーバーを増強するために使用する計画である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 人間ロボットインタラクションを目的とした神経回路による言語と行動のアトラクタ表現2015

    • 著者名/発表者名
      山田竜郎,村田真悟,有江浩明,尾形哲也
    • 学会等名
      情報処理学会 第77回全国大会
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      2015-03-17 – 2015-03-19

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公開日: 2016-06-01  

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