研究課題/領域番号 |
26870653
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研究機関 | 神田外語大学 |
研究代表者 |
小野塚 和人 神田外語大学, 外国語学部, 講師 (30706792)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | オーストラリア / グアム / ケアンズ / 社会変動 / 観光 |
研究実績の概要 |
平成27年度は、オーストラリア・ケアンズに関連した文献と史資料の収集と考察、新聞記事の検討に充てた。 4月~9月は、文献と新聞記事の検討を実施した。地元紙Cairns Postを電子形態で講読するともに、ケアンズの社会変容と観光関連政策の変遷に関して、2007年から現在を対象に、可能な限りの記事収集を進めた。この新聞記事と文献の検討の過程の中で、ケアンズ地域における先住民アボリジニとヨーロッパ系住民の関係性について論考を深める必要があることを発見し、検討を新たに開始している。これには現地の研究協力者が刊行した成果が大きく寄与している。この成果について、書評論文としての刊行準備を進めるに至っている。また、アボリジニの言語状況について、文献の章担当を行い、刊行されている(小野塚 2016)。 夏季休業期間中の9月には、ケアンズにて現地調査を予定していたが、実施を延期することとした。その理由は、ケアンズ市議会らが支援をしていたカジノリゾート建設事業(アクイス・リゾート)の建設が着工されず、用地取得の段階から事業が進行していない。新聞記事などは国内で収集できていることから、現地調査の効果は少ないと判断したためである。 冬学期終了までの10月から3月にかけては、現地調査にて得られた文献や資料、聞き取り調査のデータの分析、ならびに、先住民アボリジニに関する関連文献を講読、を継続した。 2月中旬から3月の下旬までは、本務校業務の一部である、語学研修の引率業務として、マッコーリー大学に2週間滞在し、週末などに研究の一部を遂行することが出来た。 本年度は、本研究の考察対象とするグアムとケアンズの考察のうち、ケアンズ側に大きな重点を置いた。しかし、グアムの社会変容に関し、通年にわたって、オンライン形態で現地紙Pacific Daily Newsの講読を継続していたことを付記しておく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
まず、平成26年度にかけて実施した文献の収集と、新聞記事検討については、考察を継続することが出来ている。作業の過程でさらに解明が必要となった内容、特に、ケアンズ地区のアボリジニの社会史について、関連する文献や資料の一部は、マッコーリー大学に短期滞在をした際に収集することが出来ており、読解作業を継続して実施している。とりわけ、ケアンズ地区の先住民アボリジニと観光開発の関連については、これまでの研究で発見できなかった論点を有している。新たな事実の発見には、現地の研究協力者が新たに刊行した研究成果が大きく寄与している。 次に、現地調査に関しての実施状況は、当初予定がされていたケアンズ地区での追加的なリゾート建設事業が停滞している状況にある。当面は、事業の進捗状況の様子を見ることとする。もし実施がなされない場合は、関係者に電話での連絡を継続して行い、聞き取り調査を実施することとする。 これまでおおむね研究の作業自体は順調に推移しているともいえるが、全体として進行は遅れている。その理由として、i)リゾート施設の建設事業が遅れていること、ii)新たに解明すべき点が浮上したこと、が挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後も、ケアンズをはじめとしたオーストラリア側の考察を中心に実施する。今後の研究の推進方策は主に二点である。第一に、当初の研究計画に関連して、ケアンズにおいては、新たな総合リゾート開発計画が推進されている最中である。着工は開始されるとの見方が有力であり、その際に、現地調査を行う予定でいる。同時に、現地紙Cairns Postの通時的検討を行い、現地の研究協力者についても、継続的に連絡を取ることとしたい。 第二に、ケアンズ地区の先住民アボリジニと観光開発の関係については、主に19世紀半ばにイギリス系住民が入植してきた際に、アボリジニとの明確な抗争を経ながら、現在の観光に用いられるインフラの一部が建設されるに至っている。このことは、これまで実施してきたケアンズの社会史の解明にも大きく寄与するものであり、継続して、現地の研究協力者の支援を得ながら研究を進めていきたい。 また、グアムに関しては、ケアンズとの史資料検討などの成果とを総合して、聞き取り調査ならびに史資料収集が必要になった場合、追加的な現地調査を行う予定でいる。その際には、日本国内のマリアナ諸島を対象とする研究者、現地の研究協力者から継続して協力を仰ぎつつ、調査を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
主な理由として、現地での開発事業の遅延により、現地調査を延期したことによる。
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次年度使用額の使用計画 |
延期した現地調査を年度内に実施することとしたい。
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